中パンダイアリー

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【自作曲解説】魅力的な対旋律で曲全体を華やかにする

どうも、中パンダです。

突然ですが、皆さんは対旋律(カウンターメロディ)というものをご存じでしょうか?

(知っとるわそんなもん!!という方、失礼しました…)

自分が対旋律というものを知らなかった頃、自分が作った曲とメジャーアーティストの曲を聴き比べて、「何か華やかさが足りない…」という悩みを抱えていました。

音楽理論を勉強していくうちに、どうやら曲の華やかさに影響を与える別の要素があるらしいことを知り、その一つが対旋律でした。

今回は、曲がより華やかに聞こえる対旋律の作り方について、自作曲を交えながら記事を書いていきたいと思います!

 

この記事で解説する曲は、去年深夜の2時間DTMで作ったこちらの曲です。

 

お題は「秋風をイメージした曲」です。

本当は歌詞をつけてボーカル曲にしたかったんですが、時間が無くてインスト曲のまま完成にしました。

 

この曲に関する他の記事↓ 

whitepanda924.hatenablog.com

 

 

対旋律(カウンターメロディ)とは?

ポップス音楽を聴いていると、ボーカルが歌うメロディとは別に、独立した何かメロディ的な楽器が鳴っている場合があります。

これが対旋律です。

別の言い方では「裏メロディ」「副旋律」などとも呼んだりします。

 

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例えば、菅田将暉の「まちがいさがし」のサビですが、ボーカルと声を掛け合うようにストリングスのフレーズ(一部ピアノも)が鳴っています。

曲全体が華やかになるアレンジの一つに、伸ばし音でコードを鳴らすという手法がありますが、この曲ではコードではなくフレーズを演奏することで、曲全体に華やかさを演出しています。

 

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ボーカル曲ではありませんが、分かりやすそうな別の例を…

この曲の場合、ピアノがメインとなるメロディ、バイオリン系が対旋律となります。

特にサビではメロディと対旋律が交互に奏で合い、楽器数が少ないにもかかわらず壮大で華やかな感じに聞こえます。

このように、対旋律を取り入れることでメロディだけでは埋められない音の空白部分が少なくなり、曲全体が華やかに聞こえるという効果があります。

 

今回紹介する自作曲を例にすると、20秒~57秒付近(以下、バース)ではエスニックフルート(以下、単にフルート)がメインのメロディ、ピアノが対旋律を奏でています、また、1分17秒以降(以下、ドロップ)ではパーカッションっぽい音色のシンセがメインのメロディ、フルートが対旋律を奏でています。

 

対旋律の作り方

注意点

対旋律を作るにあたって、注意すべき点が1つあります。それは、

 

メインのメロディより目立たない

 

ことです。

曲の主役はメロディで、対旋律はあくまでメロディの引き立てるいわゆる脇役です。

主役より脇役が目立ってしまうと、聞き手は主役のメロディがどれかわからずに混乱してしまい、場合によっては対旋律として作っていた方がメロディだと勘違いしてします。

また、せっかくメッセージ性のあるキャッチーなメロディを作っても、目立ちすぎる対旋律によって効果が薄れてしまいます。

押すべきものと引くべきものはきっちり分けたほうがいいですね!

 

というわけで、主役より目立たないようにしましょう!

具体的には、

  • 音量が大きくないか
  • 音程が派手に動きすぎていないか
  • フレーズが細かすぎないか

 を確認しながら作るといいかと思います。

 

リズムの工夫

メロディと対旋律は相反するようなリズムを取り入れると、音の空白が埋まり華やかに聞こえます。

具体的には、メロディが伸ばし音のときに対旋律は細かく刻んだフレーズを使い、メロディが細かく刻んでいるときは対旋律を伸ばし気味に作ります。

 

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フルートとピアノのリズム関係イメージ(バース)

ごちゃごちゃして見にくいかもしれません…(汗)

メロディとなるフルートと、対旋律となるピアノのトラックを重ねて表示しています。(上がフルート、下がピアノ)

今回のバースは4小節単位のブロックでループする構成にしていますが、ざっくり言うと最初3小節はフルートを伸ばし気味にしてピアノを刻み、4小節目ではピアノを伸ばしてフルートを刻む、というリズムにしています。

一部、メロディと対旋律で同じフレーズの刻み方をさせている部分がありますが、基本的には異なる刻み方を意識して作っています。

これによってパートの雰囲気を作り、奥行きを持たせています。

 

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 フルートとピアノの音程イメージ(ドロップ)

メロディとなるシンセと、対旋律となるフルートのトラックを重ねて表示しています。(上がフルート、下がシンセ)

ドロップではシンセが細かいフレーズを刻み、それと釣り合わせる形でフルートを伸ばし中心のフレーズにしています。

フルートはドロップに入ってから9小節目以降で入ってきますが、前半8小節がそのまま後半も繰り返される形になるので、聞き手が飽きないようにという意味も込めて対旋律を入れました。

 

音程の工夫

メロディと対旋律は反進行するようなフレーズを使うと華やかに聞こえます。

具体的には、メロディが上行(音程が上がっていく)するときに対旋律は下行(音程が下がっていく)させ、メロディが下行するときに対旋律は上行させます。

 

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フルートとピアノの音程イメージ(バース)

同音連打(同じ音を繰り返し鳴らす)も広い意味で反進行だととらえると、バースは上のイメージのようになります。

所々、メロディと対旋律が並行している部分もありますが、反進行を意識した対旋律フレーズにしました。

 

この作り方は、クラシック音楽における対位法の考え方を参考にしていますが、ポピュラー音楽でも十分戦力として使うことができます。

もっとも、何百年も前のクラシック音楽から形を変えて現代に伝わったものがポピュラー音楽なので、広い意味でクラシック音楽の延長線上にあると言えるかもしれません。

 

おわりに

今回は、曲が華やかに聞こえる対旋律の作り方について書きました。

ポップス音楽においては、メインメロディ・ベース・ドラム・コード楽器(ギター等)が基本構成になりますが、対旋律が加わることで音の空白がより少なくなります。

今まで対旋律とは無縁だった方は、一度自身の曲にもう1トラック追加して作ってみてはいかがでしょうか?(最初は難しいかもしれませんが、作っていくうちに徐々に慣れていきます)

 

今回紹介した自作曲について、実際のところもう少しリズムや進行にこだわりたかったですが、まだまだ作り込みが甘いところもあり、まだまだ修行が必要なようです(汗)

今後もいろんな曲を聴いて作って、少しずつレベルアップしていこうと思います!

 

それでは、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ