どうも、中パンダです。
1年半以上前の話になりますが、とある回の深夜の2時間DTMにて、コード進行を指定するというお題がありました。
コード進行縛りのお題はさほど珍しくなく、ちょくちょく見かけます。
しかし、この回のコード進行は実に奇妙なものでした。
それは
【2/3 2時間DTM】
— 深夜の2時間DTM 次回9/17 (680th) (@2hoursDTM) February 3, 2018
本日のお題は「コード進行:Vsus4→V→IVsus4→IV」です。
22時~24時の2時間で作り、タグをつけ、各自アップロードしてください。
Cコードでは「Gsus4→G→Fsus4→F」です。曲中のどこかで使用して下さい。 #深夜の2時間DTM
Vsus4→V→IVsus4→IV
なんだこのコード進行は・・・??
正直、初めて見ました。このコード進行。
そして、使い方が全く分かりません。
しかし、無理やりにでも必ずこのコード進行を使い、しかも2時間で完成させなければなりません。
鍵盤を弾いたり鼻歌を歌ったり、ピアノロールにちょっと打ち込んでみたりと、ありとあらゆる手を使ってアイデアをひねり出した結果・・・
できた曲がこちらになります!
タイトル:Innocent Memory
— 中パンダ@秋M3 M09b (@whitepanda924) February 3, 2018
#深夜の2時間DTM 「コード進行:Vsus4→V→IVsus4→IV」
最初の24小節あたりで使ってます(無理やり放り込んだ感が凄いですが(汗))
いつも通りピアノを前面に押し出した曲にしました!(笑) pic.twitter.com/2HSZTu6aqa
・・・自分で作っておいてアレですが、ギャルゲーのタイトルに合いそうな曲に聞こえるのは自分だけでしょうか・・・?(汗)
今回はこちらの曲を用いて、コード進行の特徴と自分がどのように使ったかについて記事を書いていきます。
※今回の解説のメインは、最初~41秒までになります。
音楽理論的解析
このコード進行はピアノロールに打ち込むとこうなります。
Gsus4→G→Fsus4→F(Cメジャースケールの場合)
コード機能について
コードの機能を考えると、Ⅴはドミナント(D)、Ⅳはサブドミナント(SD)となります。
sus4はひとまず置いておくとして、このコード進行にはD→SDの流れが含まれていることになります。
sus4について
sus4は「Suspended Forth Chord」の略称で、「吊るされた4度」もしくは「浮遊した4度」という意味があります。(個人的には「浮遊した~」という訳がしっくりきます)
曲中でよく使われるC, Dm, Fなどはスリーコードとよばれ、1,3,5度の音で構成されています。
sus4は、これらのコードの3度の音を"上に浮かばせ"、4度としたコードになります。
そのため、sus4は浮遊感のある独特な響きになります。
もともと3度だった音を浮上させたので、浮上された4度は半音一つ下の長3度に進みたがります。
そのため、Xsus4→X(XにはⅠ~Ⅶのいずれかのコードが入る)というコード進行がよく用いられます。
Xsus4→Xのコード進行
コード進行の特徴について
本題のコード進行にはXsus4→Xの流れが2回連続で出ており、しかも構成音が半音ずつ下がっていることが分かります。
普段よく使われるメジャースケールやマイナースケールでは、構成音が4回連続で半音になることはありません。
つまり、コード進行のどこかでスケールアウトします。(部分転調するとも解釈できます)
このコード進行の場合は3番目のⅣsus4のときに該当します。
公式ツイートにもあるように、Cメジャースケールでこのコード進行を使う場合はGsus4→G→Fsus4→Fとなり、Fsus4で部分転調が発生します。
ここで厄介なのは、「どこに転調するとみなすか」です。
なぜなら、Fsus4の構成音はF,Bb,Cで、この音が含まれるスケールとそのときのFsus4の度数は
- Fメジャースケール(Ⅰsus4)
- Bbメジャースケール(Ⅴsus4)
- Ebメジャースケール(Ⅱsus4)
- Abメジャースケール(Ⅵsus4)
- Dbメジャースケール(Ⅲsus4)
の5つもあり、転調できるスケールの数が多いからです。(簡単化のためメジャースケールのみ列挙)
そのため、作る曲に応じて転調先を考えなくてはなりません。
今回はFsus4→Fの範囲で部分転調が発生したと考えて、半音5つ上のFメジャースケールに転調することにしました。(後で全体のキーを5つ上げたので、Fメジャー→Bbメジャーの部分転調になります)
曲に組み込む
コード進行の構築
さて、転調先が決まれば次は前後につくコード進行を考える必要があります。
先ほども述べた通り、今回使うコード進行はD→SDの流れを含んでいるので、前後にトニック(T)などを追加していきます。
ここで自分は、Ⅵm→Ⅴ→Ⅳ→Ⅰというコード進行に組み込むことにしました。
Ⅴ→Ⅳの部分に着目すると、お題となるコード進行と構造が一緒であることが分かります。
そして、よく使われているXsus4→Xの流れを2回連続で組み込むとⅤsus4→Ⅴ→Ⅳsus4→Ⅳという流れが出来上がり、最終的にⅥm→Ⅴsus4→Ⅴ→Ⅳsus4→Ⅳ→Ⅰというコード進行が完成します。
今回はFメジャースケール(Dマイナーとも解釈可能)で作っているので、コード進行は
| Dm | Csus4 C | Bbsus4 Bb | F C | となります。(最後のCはおまけ)
メロディの工夫
Bbsus4→BbでBbメジャースケールに部分転調しているので、 Bbメジャースケールに含まれる音を使ってメロディを作ります。
今回の例ではEbの音を使い、Bbメジャースケールに転調したことを聞き手に意識させています。
おわりに
今回は、普段あまり見受けられないコード進行を音楽的に解析し、自分がどのように曲で使ったかについて記事を書きました。
深夜の2時間DTMでは、このように普段あまり使わないコード進行がお題として挙がることもあります。
そのたびに、「こんなコード進行もあるのか」ととても新鮮な気分になり、作曲の幅が広がったように感じます。
とはいっても、やはり2時間で作りきるのは限界があるので、別の曲でもこういった奇抜なコード進行を使ってみようと思います!
それでは、今回はこの辺にしておきます。
ではではノシ