中パンダイアリー

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【自作曲解説】昭和時代っぽい歌謡曲の作り方(編曲編)

どうも、中パンダです。

 

前回の記事に引き続き、昭和時代の歌謡曲を意識した曲作りについて記事を書いていきます。

前回は作曲についてでしたが、今回は編曲についてです。

作曲編はこちら↓

whitepanda924.hatenablog.com

謡曲の雰囲気を出すには、作曲と同じくらい編曲も重要になりますが、その中でも特に、楽器選びとそれらのフレージングについて解説します。

※個人的な見解が多く含まれており、間違っている箇所もあるかもしれませんが、ご了承ください。

 

 

謡曲の特徴(編曲面)

編曲については、年代やアーティスト等によって様々ですが、おおよそ次のような特徴があるようです。

 

暖色系の音色

抽象的な言い方ですが、"暖色系"の音色が多く使われているように感じました。

具体的には、楽器の音がラジオサウンドのように高音域と低音域が緩やかにカットされた(4~6kHz以上と100~200Hz以下が減衰している)イメージです。

 

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音色イメージ

謡曲が作られた年代の"音源"の多くは現代ほどハイファイでクリアな音質だったとは言えず、籠ったような音になっています。

この音質が"レトロ感"を醸し出し、昭和のような、今となっては古くなってしまった時代のイメージに結びついているのではないかと思います。

また、年代が新しくなり音質が良くなっても、「低音や高音を強調せず、中音域中心で聴かせる」という特徴は変わっていないように感じました。

 

オクターブストリングス

ほとんど全ての歌謡曲にストリングスが使われています。

さらに、イントロや合いの手などのフレーズは、1オクターブ上の音を重ねて演奏するという技法がよく用いられます。

 

ブラスセッション刻み

ブラスセッションも多くの曲で使われており、スタッカートを利かせた短いフレーズで演奏される場合が多いです。

 

曲の解説(編曲)

先ほど書いた編曲面での特徴を取り入れ、曲を作ります。

今回解説する曲の楽器構成は、ドラム・ベース・ピアノ・ストリングス(コード&合いの手)・ブラスセッション(合いの手)・その他となっています。

以下に、各楽器の使い方を解説していきます。

 

ドラム

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ドラムフレーズ

曲全体にわたって、基本的な8ビートでフレーズを構成しています。

謡曲っぽいリズムにするため、表拍中心でフレーズを作り、表拍(今回は8分の表)のベロシティを高めに、裏拍を低めに設定します。

 

ベース

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ベースフレーズ

個人的に歌謡曲・演歌などでよく見られるフレーズ(コードのルート音:4分音符+5度音(or3度音):8分音符+ルート音:8分音符、およびその派生形)を採用しました。

ドラムと同様、表拍を意識してノートを置いていきます。

特に四分音符の部分は、伸ばしきるのではなく、少し長さを短くします

四分音符は表拍上にのみ使用していますが、こうすることで鳴っているノートの存在感が強調され、表拍も強調されます。

(ベロシティは時間が無かったので調整していません…)

 

ピアノ

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ピアノフレーズ

8分音符単位の和音で使っています。

シンコペーションなどは一切使わず、拍の上には必ずノートを置いています。(実際には、MIDI鍵盤で弾いたものをリアルタイム入力しています)

こちらもやはり、表拍を(ry

今回はサステインon/offを使って音符の長さ調整をしています。 

 

ストリングス

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ストリングスフレーズ

先ほど「オクターブ重ねたストリングスが入る」と書きましたが、今回は最初からオクターブで重なっている音色を選んでいるので、MIDI上では単音で打ち込んでいます。

 

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ストリングス和音

また、和音は開離配置(オープンボイシングで鳴らしています。

開離配置とは、ベースを除いた和音が1オクターブ以上の範囲で配置されていることをいいます。(1オクターブ以内に収まっていれば密集配置(クローズドボイシング))

今回は華やかな雰囲気にしたかったので、音域の広い開離配置でストリングスを鳴らすことにしました。

 

ブラスセッション

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ブラスセッションフレーズ

短く刻んだフレーズを、合いの手を打つように使っています。

使っている音源が細いので、音に厚みを持たせるために4度下の音を重ねています。

 

その他

曲に煌びやかさを加えるため、イントロやサビを中心にうっすらとベルの音を入れています。

 

おわりに

今回は、歌謡曲らしい編曲について、自作曲を交えながら紹介しました。

前回の記事と合わせて、これだけ特徴をおさえていれば、ほぼ歌謡曲が作れると言っても過言ではないでしょう。

ただ、2時間DTMの範囲で作ったものなので、作り込める部分はまだまだあると思います。

謡曲とは言ってもアーティストによって曲調は様々なので、作例の一部にはなってしまいますが、この記事が歌謡曲を作る際の参考になれば幸いです!

 

それでは、今回はこの辺にしてきます。

 

ではではノシ