どうも、中パンダです。
今回は、いままで自分が作ってきた曲について、「どういう発想で曲を作ったか」を音楽理論を交えながら解説していきたいと思います!
今回解説するのは、2018年12月9日に「深夜の2時間DTM」というTwitter上の企画で作った曲です。
ここで出されたお題は「地底世界をイメージした曲」です。
21時にお題が発表され、22~24時の間で曲を作らなくてはなりません。
余計なことを考えていると何も思いつかず時間切れになってしまいます
さて、どんな雰囲気にしようか・・・
まずは「地底世界」という単語でググり、出てきた画像からイメージを膨らませます。今回は、ファンタジー系な曲で攻めることにしました。
さて方向性が決まれば、作曲開始・・・
とはいきません!!
なにせよ、自分は今まで一度もファンタジー系の曲を作ったことが無いからです(笑)
そこで「ファンタジー 曲(もしくはBGM)」でYoutubeを検索し、曲の雰囲気と使われている楽器を把握します。
そして最終的にできた曲がこちらになります!
タイトル:地底に差す光
— 中パンダ (@whitepanda924) December 9, 2018
お題「地底世界をイメージした曲」 #深夜の2時間DTM
リハビリがてら作りました!
地底っぽく暗めに作ったはず…
(追伸:初めてCubase Pro 10で作りました) pic.twitter.com/i9yZk6gCUs
ありがたいことに、この曲は自己最高の45いいね(2018/12/16現在)をいただきました!
ありがとうございます!!
今回はこの曲について解説していきます。
2021/7/18 追記:Audiostockにてリメイク版を配信しました! もし気に入っていただけたなら、こちらもチェックしていただければと思います!
音楽理論の前置き
今回の記事では内容の関係上、音楽理論の用語が複数出現します。そのため、音楽理論について最低限必要な知識をいくつか紹介しようと思います。
・スケール(調):基準の音(主音)から、ある規則に従って順番に音を並べたもの。1オクターブで一巡する(主音から5番目の音(5th)は属音と呼ばれる)
(ex. Cメジャースケールなら、C(主音),D,E,F,G,A,B,C)
Cメジャースケール
・コードネームとナンバリング:主音から作られるスリーコードをⅠとし、Ⅶまでナンバリングされる(Cメジャースケールの場合、C,Dm,Em,F,G,A,Bm-5 → Ⅰ,Ⅱm,Ⅲm,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵm,Ⅶm-5)
・コードの機能
- トニック(T):安定感を与える(Ⅰ,Ⅵのコードが該当)
- ドミナント(D):緊張感を与える(Ⅲ,Ⅴのコードが該当)
- サブドミナント(SD):ドミナントほどではないが、緊張感や不安定感を与える。また、広がり感や浮遊感も出せる(Ⅱ,Ⅳのコードが該当)
- コード進行は"安定→緊張→安定"を繰り返すのが基本
曲全体の雰囲気決め
まず初めに"ファンタジー系な曲"で思いついたのが、ドリアンスケールというものです。
ドリアンスケールは、教会旋法というローマ・カトリック教会の音楽で使われていた旋法(モード)から抽出されたスケールで、現代のポピュラー音楽ではあまり多くは使われません。
しかし、RPG系のゲーム音楽・一部のケルト音楽などでは比較的みられ、民族的・情緒的・古めかしい雰囲気を出すことができます。
この"現実から遠い世界"の雰囲気が、ファンタジーを表現するのに一番合っていると考えました。
今回使っているのはGドリアンスケールです。
Gドリアンスケール
Gマイナースケール
Gマイナースケールとの違いは主音から6番目の音で、この場合、E♭であればマイナー、Eであればドリアンスケールと聞き手に認識されます。
曲中ではこのEの音を効果的に使い、ファンタジーな雰囲気を作りだします。
各パートについて
Aパート(最初~16秒付近)
AパートのコードはGmadd9→C(シーメジャーコード)の繰り返しです。
元となるコード進行はⅠm→Ⅳの繰り返しですが、実はジャズで用いられるⅡm→Ⅴ(ツーファイブ)を参考にしています。
このとき、コードの機能をあてはめると、T→SD→T→SD・・・を繰り返していることになります。
JPOPなどでよくみられるT→SD→D→Tのコード進行とは異なり、あまり緊張感を高めずに"緊張→安定"へと進行していくため、無機質な曲調になります。
今回は、曲から感じられるファンタジーな雰囲気を聞き手に感じ取ってもらいやすくするため、あえて抑揚の無いコード進行を使い、聞き手の意識をスケールに向けています。
また、今回は広がりのある美しい響きが欲しかったので、Ⅰmに9thのテンションを追加したGmadd9を使っています。
加えて、ⅣにあたるC(シーメジャーコード)の構成音がC,E,Gであるため、この時にドリアンスケールを意識させることができます。
さらに、ピアノのフレーズではGmadd9の上では第6音(E)を使わず、Cの上でE音を使うことでより強くドリアンスケールを意識させています。(8小節単位でずっと繰り返しています)
A'パート(16秒付近~31秒付近)
コード進行は変わりませんが、上物のピアノメロディが入ります。
このピアノメロディは、Gmadd9上ではマイナースケール、C上ではドリアンスケールをそれぞれなぞらせています。
マイナースケールのメロディが入ることで、ドリアンスケールの存在を際立たせています。
さらに、このピアノメロディはD音から始まっていますが、これはGドリアンスケールの主音であるG音に対して5度上(属音)であり、Gmadd9に対する5thの音でもあります。
メロディラインはコード進行と同様、基本的に"安定→不安定→安定"の流れで変化するため、通常は主音(今回はG音)から始めることが多いです。
しかし、属音からメロディラインを始めることで、トニックであるGmadd9の安定感を引き出しつつ、ほどよい緊張感を出すことができます。
Bパート(31秒付近~48秒付近)(転調パート)※別記事へ
このパートの前後で転調していますが、無理のない転調で自然につながって聞こえるはずです。
ここを解説すると長くなるので、詳細は別の記事に書こうと思います。
コード進行について
このパートでは、エネルギッシュで躍動感あふれるパートにしたかったので、それに適したコード進行を選びました。
今回のコード進行はⅣ→Ⅴ→Ⅵm進行(マイナースケールではⅥ→Ⅶ→Ⅰm進行)を参考にB♭→C→Dm→Amを使っています。
音楽理論ではSD→D→T→Dと表され、この"SD→D→T"を含むコード進行は力強さや躍動感を演出するのに適しています。
Aパート(48秒付近以降)
前半に出てきたAパートの楽器を少しずつなくしていき、フェードアウトに向かいます。
まとめ
たかが2時間DTMと思われる方もいるかもしれませんが、制作過程でいろいろなことを考えながら作りました。
ただ、正直なところ時間がなかったので、例えばAパートのCはテンションを付加してCadd9やC7にして試してもよかったかもしれません…
また、ドラムが無いと聴覚上4拍子3連符の曲に聞こえてしまうのは偶然で、本来は3拍子の曲です。
そして、これに加えてリバーブなどのエフェクターの使い方、ミックスについても考えなければならず、これも時間が(ry
この辺りもさらに数をこなして、イメージ通りの作曲ができるように頑張りたいです!
今回は、普段あまり人目に触れない「作曲家が曲を作る時にどういう発想で曲を作ったか」について記事を書きました。
拙い記事ではありますが、気に入っていただけた方はお気に入り登録などをしていただければ、今後の励みになりますm(_ _)m
ではではノシ