どうも、中パンダです。
ここ数日、打ち込みの力を伸ばすために既存曲の耳コピをしています。
耳コピは作曲・編曲スキルを伸ばすのに最適ですが、DTMを始めたばかりの頃はメロディを聞き取るだけでも苦労します。
また、それなりに作曲経験を積んでいても、楽器数が多い曲や音圧が高い曲は個々の楽器を聞き取るのが難しいことがあります。
今回は、耳コピをする際に手助けになるツールと、使い方のコツについて、自分なりの方法ですが紹介したいと思います!
この記事では前提として、DAW上に耳コピしたい曲のデータを読み込み、耳コピしたフレーズをMIDIに打ち込んでいくものします。
楽器(MIDIキーボード等)
楽器があれば、聴いたメロディと実際の音の違いを埋め、音程の感覚を養いやすくなります。
聴き取ったメロディなどを一度楽器で弾いて確認し、音程が正しいかどうかチェックします。手順としては、
- 聞き取ったメロディを弾く
- 弾いた音の音名を把握し、ピアノロールに打ち込み
- 原曲と照合
- 修正(以降、1~4を繰り返し)
となります。
最初は正しい音程を一音当てるだけでも苦労するかもしれませんが、回数をこなすと徐々に音感がついてきて、耳コピスピードが上がってきます。
パソコンにつないでMIDIデータのやり取りができるなら、リアルタイム入力を使ってささっとコピーすることもできます。
テンポ変更
ドラムの細かいフィルインやアドリブ演奏の細かいフレーズなど、鳴っている時間が非常に短い音を聞き取るときに役立ちます。
方法は使用しているDAWによりますが、Cubaseの場合、まず読み込んだ曲データをサンプルエディターで開き、ミュージカルモードのボタンを点灯させます。
その後、プロジェクト画面に戻ってミュージカル/リニアの項目を点灯させます。(最初から点灯している場合が多いですが)
こうすることで、DAW側でテンポ変更をしたときに取り込んだ波形データも自動的に伸縮して、DAWのテンポに合わせてくれます。
(再生位置がずれる場合は、その都度位置の修正が必要になります)
EQ/フィルター
コピーしたい楽器パートが聴き取れない時、楽器の特性に合わせてEQ/フィルターをかけると、そのフレーズが聞き取りやすくなります。
以下に、聞き取るパートごとの主な設定例を書いていきます。
バスドラム
EDM系は50~60Hz付近(ドラムンベースは120Hzのものもある)、ロック/バラード系は80~100Hz付近をEQでブーストし、それ以外をカットすると、バスドラムが聞こえやすくなります。
ヘヴィメタルのような激しいジャンルでは、低音に加えて6k~10kHz辺りをブーストすると聞き取れる場合があります。
これは、この辺りの帯域にバスドラのビーター音(バスドラの皮をベチベチ叩く音)が含まれるためです。
この方法により、低音部分だけではフレーズの切れ目がわからない速いフレーズでも、比較的聞き取りやすくなります。
スネア
目立つ音色なのでバスドラほど聞き取りにくくはないですが、音圧が高いと聞き取るのに苦労するかもしれません。
また、EDMではスネアがバスドラに埋もれて聞き取りにくい曲が多いです。
この場合は200Hz付近をブーストし、それ以外をカットします。
曲中において、スネアは2拍目と4拍目に入っている確率が極めて高いので、EQを設定したときにこのタイミングでポコポコ鳴っていれば、それがスネアになります。
あとは、2拍目と4拍目以外にスネアが入っていないか耳を澄ませましょう。
もし聞き取れない場合、ブーストする帯域を上にずらし、500Hz付近まで上げると聞き取れる場合があります。(ハンドクラップ系で有効)
ベース
120~200Hzあたりをブースト&それ以外をカットすると、聴きやすくなります。
生楽器系のベースを使っている場合、2k~8kHz辺りをブーストすると弦をはじく音が聞き取れる場合があります。
こちらは、ベースがトリッキーなフレーズを弾いていて、音の切れ目が分かりずらい時なんかに使えると思います。
ギター
200~300Hz付近(ギターの胴鳴り部分)と4kHz付近を同時にブーストし、それ以外の帯域を削ります。すると、ギターの響きが浮かび上がってきます。
和音(特にギターのコード)は慣れていないと聞き取るのが難しいです。(セブンスコードなどは特に)
聴き取れない時は、とりあえず3和音の簡単なものと仮定して打ち込み、耳コピを先に進めましょう。
コードの響きは、何回も聞くと響き自体を覚えるようになるので、次回以降の耳コピでは打ち込みやすくなります。
ハイハット系(シンバル含む)
8k~10kHz辺りをブーストし、それ以外をカットすると聞き取りやすくなります。
EDMではハイハットとは別にホワイトノイズなどが入っていて、帯域が被って聞き取りにくいことがあります。
その場合は、ブーストする帯域を少し下にずらし、5k~7kHzに設定します。
ハイハットでも意外と低い帯域まで音は含まれているので、この帯域をブーストすることでハイハットが聞き取れる場合があります。
その他(効果音など)
Qを絞って特定帯域のみブーストし、耳コピしたいパートのみ音量が大きくなる周波数帯を探します。
あとはそれをコピーします。
ステレオ/モノラル切替
上物など、左右に定位が散らばっていてフレーズが聴き取りにくものは、Stereo Enhancerなどを使ってモノラル音源に変えてみましょう。
そうすることで、ステレオよりも聞き取りやすくなることがあります。
(なおさら聞き取りにくくなる場合は、逆にステレオ感を広げるのもありです)
MS処理プラグイン
L・Rで表現されるオーディオデータをMidとSideに分ける作業ですが、耳コピでそんなことするような方はほとんどいないんじゃないでしょうか?(笑)
ただ、MS処理とはいってもMidの音量を0にしてSideだけが鳴っている状態にするだけです。
そうすることで、Midにかき消されていたSideの音が驚くほど鮮明に聴き取れます。(メロディのハモリのパートが聞こえたりもします)
この作業はプラグインを使えば一瞬でできます。
WAVES Center
MidとSideの音量を個別に調節できます。WAVESバンドルのGrand Masters Collection, Horizon, Diamond, Mercuryにも収録されています。
Blue Cat's Gain Suite
先ほどのプラグインと機能は似ていますが、こちらはフリープラグインになります。
64bit版があるので、32bit非対応のCubase Pro 10でも使えます。
終わりに
今回は、DAWを使って耳コピするときに役立つツールと、その使い方について書きました。
ツールを使うと比較的簡単にフレーズがコピーできますが、それでも完全にコピーしきるのは難しいです。
そのため、ある程度コピーしたらその先のパートに進むことも重要です。
作曲は音楽理論などの知識以上に経験がものを言います。
ある箇所を完全にコピーしようとしてずっと立ち止まっているより、クオリティはそこそこにして耳コピする数を増やした方が、経験値を得やすいです。
この記事で紹介したツール&コツを使って耳コピにかかる時間を短縮し、より多くの曲がコピーできるようになることを願っています。
とりあえず1曲耳コピを完成させて、次の曲を耳コピしましょう!
というわけで、今回はこの辺にしておきます。
ではではノシ