中パンダイアリー

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「続きが思いつかなくて完成しない」を防ぐ作曲術

どうも、中パンダです。

 

作曲をしている人が少なからず直面する問題の一つに、「とりあえずサビだけ(イントロだけ・サビとAメロだけ etc)作ったけど、それ以外の部分が思いつかない」というものがあります。

自分の場合、1年間でおよそ80個のプロジェクトファイルが生成されますが、その中で完成まで持っていけるものは、以前は1割くらいしかありませんでした。(今は5割くらい)

ほとんどのプロジェクトファイルは、一部分のみ作ったあと先が思いつかず、そのまま終わりになってしまいます。

今回は、そういった「先が思いつかない」を少しでも防げるような作曲のコツについて、自分なりのやり方ですが記事にしたいと思います!

(少なくともこのやり方で作曲した場合については、全て最後まで作りきることができました)

 

作曲時のポイント

まず作曲時に心掛けるべきポイントですが、

 

作曲と編曲を一緒にしない

 

に尽きます。

具体的には、次に示すやり方で作曲と編曲の同時進行を防ぎます。

 

0から作る場合

まず、メロディとベース(もしくは伴奏)のみで構成されたトラックを1つ作ります。

そして、編曲は一切せず、イントロからAメロ・Bメロ・サビ・(場合によっては間奏・エンディングも)に至るまで一気に作ってしまいます。(さらに言うならば、サビから作った方が良い(後述))

 

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メロディとベースを1トラックに(作成例)

こうすることで、作曲の工程を完全に終わらせてしまいます。

 

【理由1】勘が取り戻せない

DTMの場合は"作曲だけ終わらせて完成"というケースは稀で、編曲までやって初めて完成とするのがほとんどかと思います。

作曲と編曲は似ているという方もいますが、全く違う別の工程で、求められるものも違います。

あくまで自分の考え方ですが、作曲と編曲には次のような違いがあります。

  • 作曲:メロディ(+コード)を作る。ひらめきが必要
  • 編曲:メロディに対して雰囲気付けをする。音楽的知識・経験が必要

 

「続きを作る」という作業は作曲にあたります。そのためには少なからず「思いつき」が必要になり、メロディの感覚が研ぎ澄まされている必要があります。

しかし、ひとたび編曲に移ってしまうとこのセンスが鈍くなってしまいます。

そのため、ひらめきを作曲ほど必要としない編曲の後に、再び作曲に戻ろうとしてもなかなか勘を取り戻しにくく、結果として「続きが思いつかない」という事態が発生します。

メロディだけでも最後まで作り切り、思いつきが必要な工程を完了させてしまえば、あとは知識・経験に基づいて編曲するだけなので、曲も完成しやすくなります。

 

【理由2】イメージが固定化

歌ものの場合、Aメロ・Bメロ・サビといったパート毎に別々の雰囲気を持たせることが多いですが、その雰囲気を支配する中心的な役割を果たすのはメロディであり、作曲が重要になります。

曲の続きが思いつかない原因の一つとして、既に作ったパートのイメージから抜け出せないというものがあります。

作曲の段階ではまだメロディとベース(伴奏)だけですが、編曲までしてしまうと曲のイメージがより強力に固定化されてしまい、続きが思いつきにくくなってしまいます。(曲の初めから終わりまで、編曲を含めて頭の中で完璧にイメージできていれば別ですが)

そのため、メロディとベースのみのシンプルな構成で曲をとらえることでイメージの固定化を防ぎ、続きが思いつき易くなります。

 

途中で編曲してしまった場合

もし、作曲が終わる前に一部分でも編曲してしまった場合、メロディとベースのみのトラックを別で作り、編曲で作ったトラックを全てミュートします。

 

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こうすることで、固定化されたイメージに囚われにくくなります。

(万が一超絶お気に入りの編曲ができてしまい、「あぁ^~最高^~」と編曲した部分を何十回も聴き込んでしまった場合は、なかなかイメージがぬぐえない可能性があります)

 

作曲順序の工夫

作曲を始める際は、サビからスタートすることをお勧めします。

サビは曲中で最も重要な部分であるがゆえに、最もエネルギーを費やすべき部分でもあります。

個人差はありますが、作曲のモチベーションは曲を作り始めた直後が最高であることが多く、ひらめきもその時が一番起こりやすいです。

しかし、時間と共にモチベーションは低下していきます。

自分が一番ホットな状態でサビを作ることで、モチベーション低下の弊害を受けることなく最高のサビを作ることができます。

 

その後は、自分の場合イントロを作ります。

イントロは曲のテーマや雰囲気を決める重要な部分なので、サビと同様に作る時はエネルギーを費やします。

 

この2か所さえ作ってしまえば、あとの部分(Aメロ・Bメロ・間奏 etc)はさほどモチベーションが無くても作ることができます。

むしろ、サビやイントロと対比させるために淡々としたメロディにすることが多く、作曲熱が冷めていた方が作り易いです。

 

思いつかなくなったら

どうしても続きが思いつかない場合、音楽理論や知識などを使って"機械的"メロディを作ります。

そのとき、ある程度の制約を設けることで、出来上がった時に違和感が少なくなるようにします。

 

譜割を制限する

メロディが一部(サビとAメロ・サビとイントロ etc)出来ている場合、一度メロディの譜割を書き出します。

そして、既にできている部分とは違う譜割でメロディを考えます。

例えば、Aメロとサビが出来ており、共に8分音符中心でメロディを作っている場合、Bメロのメロディは

  • より細かい譜割にする(16分音符中心で考える)
  • 逆に大きな譜割にする(4分音符中心で考える)

などが考えられます。 

 

音域を制限する

曲中ではサビの音程が一番高くなることが多いです。

そのため、例えば「サビは既に出来ているがAメロ・Bメロが思いつかない」といった場合は、サビの最高音を超えないように音域を制限して作曲します。

また、各パートにおける最高音と最低音の幅(音域)にも気を配ります。

  • 音域広い:感情的、ドラマチックな印象
  • 音域狭い:落ち着いた印象

自分の場合、サビはドラマチックな雰囲気にしたい時が多いので、サビではメロディの音域を広めに(1オクターブ半~2オクターブくらい)、それ以外の部分はサビとの対比のために音域を狭めに(完全5度~1オクターブくらい)作ることが多いです。

 

変わった音階を使う

普段使わない音階を使うと、メロディが思いつく場合があります。

特にペンタトニックスケール(ヨナ抜き音階・ニロ抜き音階)は、日本人にとって親しみやすい音階なので、この音階を使うだけでキャッチーなメロディになったりします。(笑)

その他、ドリアンスケールやフリジアンスケール、アラビア音階などを使うのもよいかと思います。

 

whitepanda924.hatenablog.com

ドリアンスケールの例

 

whitepanda924.hatenablog.com

フリジアンスケールの例

 

コード進行を先に作る

よく使われるコード進行をまだメロディができていない部分に置き、コードの構成音を使ってメロディを作ると、それらしくハマる可能性が高くなります。

よく使われるコード進行(Cメジャースケールの時)はおよそ次の通りです。

  • JPOP風
    • Ⅰ | Ⅴ | Ⅵm | Ⅲm | Ⅳ | Ⅰ | Ⅳ | Ⅴ(カノン進行)
    • Ⅳ | Ⅴ | Ⅲm | Ⅵm(王道進行)(類似パターン:Ⅳ | Ⅴ | Ⅵm | Ⅲm , Ⅳ | Ⅴ | Ⅵm | )
    • Ⅵm | Ⅳ | Ⅴ | Ⅰ(小室進行)
    • Ⅵm | Ⅲm | Ⅳ | Ⅴ(類似パターン:Ⅵm | Ⅳ | Ⅴ)
    • Ⅰ | Ⅵm | Ⅳ | Ⅴ
  • 洋楽風
    • Ⅰ | Ⅴ | Ⅵm | Ⅳ レットイットビー進行(順番違い:Ⅵm | Ⅳ | Ⅰ | Ⅴ, Ⅳ | Ⅰ | Ⅴ | Ⅵm)
    • Ⅵm | Ⅰ | Ⅴ | Ⅳ(順番違い:Ⅵm | Ⅰ | Ⅳ | Ⅴ)

 

JPOP風の場合、特に上3つのどれかを使うとそれらしい雰囲気になりやすいです。

また、既に出来ている部分からの勢いでメロディが思いつく場合があります。(メロディを作った後にコードを変更するやり方もあります)

 

出来ているところから順に編曲する(非推奨)

先ほども書きましたが、このやり方はイメージが固定化されるためお勧めしません

しかし、どうしても思いつかない場合、編曲した時の勢いで続きのメロディが思いつく可能性があります。(自分はほとんどありませんが(汗))

 

おまけ(音楽以外の対策)

締切を作る

人は追いつめられると、それまでとは想像できないほどの高いパフォーマンスを発揮します。(いわゆる火事場の馬鹿力)

このことを利用し、積極的に自分を追い込むことで無理やり曲を完成まで持っていきます。

その一つが、自ら締切を作ることです。

作曲の依頼を受ける場合や、公募に曲を出すといった場合、必ず締切が存在するので、そういったものに積極的に参加してみましょう。

ほぼ確実に曲が完成します(笑) 意地で完成させます(笑)

また、好きな人(推しキャラ)への誕生日ソングを作るのもありです。

誕生日は1年で1日しかないため、その日までに完成しなければ1年間待たなければなりません。

自分の好きな相手であれば「何としてでも作ってやろう」という強い意志が働くでしょうから、こちらも曲の完成まで持っていけます。

 

気分転換する

どうしても思いつかなくて煮詰まってしまった場合は、一旦DAWを閉じて気分転換をするのもありです。

体を動かしてみたり、食事に出かけたり、別の趣味をしてみたり、旅に出てみたり、布団に入ったり・・・

気分転換の最中に、ふと続きが思いつくかもしれません。

 

諦める

それでも続きが思いつかない場合、潔く諦めましょう

「最高の1曲が出来そうだから諦めたくない」という方もいます(自分もそうでした)が、数週間くらい経ってからその作りかけの曲を聴くと、案外「大したことないな」となります。

1曲に長く時間をかけるより、同じ時間でもっといろんな曲を作った方が経験値を稼げます。

 

おわりに

ここまで「続きが思いつかない」という事態にどう対処するか、自分の考え得る範囲の内容を書いてきました。

あくまで自分なりのやり方なので、読者の方々にも有効かどうかは正直わかりません。

しかし、もしこれらのやり方が有効であるなら、作曲のかなり大きな手助けになると思います。

少しでも参考になれば幸いです!

 

それでは、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ