どうも、中パンダです。
1年以上前になりますが、深夜の2時間DTMにて「昭和時代をイメージした曲」というお題が出されたことがあります。
その日は都合が良かったので自分も参加したわけですが…
"昭和をイメージ"とは…?
という感じで、全く音楽のイメージがつかめずにいました。
なにせ、自分は昭和時代を生きたことが無いのですから。
しかし、あたふたしているうちに時間はどんどん過ぎていきます。
まずは「昭和 曲」、「昭和 音楽」などでググり、Youtubeもできる限り検索して、昭和っぽい曲のイメージを掴んでいきます。
その中で歌謡曲に行きつきましたが、このジャンルが昭和のイメージにピッタリだと考えました。
今回は、昭和時代の歌謡曲を意識した曲作りについて、素人ですが自作曲を交えながら記事を書いていきたいと思います!
解説するのは、先ほども言いましたが深夜の2時間DTMにて作ったこちらの曲です。
タイトル:わが町の記憶#深夜の2時間dtm 昭和時代をイメージした曲
— 中パンダ@APPOLO10&音けっと4参加予定 (@whitepanda924) April 28, 2018
大遅刻しました…
いろいろと考えていたら、圧倒的に歌謡曲になりました…(笑) pic.twitter.com/945JwOfKDs
長くなりそうなので、作曲編と編曲編に分けて記事を書こうと思います。
編曲編はこちら↓
また、当ブログでは音階のことを「スケール」と表記していますが、前回と同様に説明の都合上「音階」と表記致します。
歌謡曲の特徴(作曲面)
Wikipediaには、以下のように書かれています。
歌謡曲(かようきょく)とは、昭和時代に流行した日本のポピュラー音楽の総称である。その中でも昭和時代に発表された楽曲群は昭和歌謡とも呼ばれる。
なので、「昭和時代に作られた曲」の特徴を調べれば、それがそのまま歌謡曲の特徴となり得ます。(例外はありますが)
昭和時代の歌謡曲は年代ごとに違いがあるものの、次のような特徴があるようです。(自分がYoutubeで調べたものを参考にしているので、間違いがあるかもしれませんがご了承ください…)
ヨナ抜き音階のメロディ
メロディにヨナ抜き音階がよく使われており、年代が古いほど顕著にみられます。
この音階は、通常のポップスなどで使われる7音の音階(ダイアトニックスケール)から、4番目と7番目の音を取り除いた音階です。
ニロ抜き音階と同様に、日本古来からある音階を基に明治時代以降に作られた音階のひとつで、長音階と短音階があります。
長音階・短音階共に歌謡曲ではよく見られますが、ヨナ抜き短音階の方が演歌っぽい雰囲気の曲で使われることが多いようです。
表拍強調のリズム
メロディの譜割が表拍を中心に作られており、シンコペーションなどで前後に食い入るようなメロディは少ないようです。
日本人は表拍のリズム、西洋人は裏拍のリズムを持っているといわれていますが、この表拍強調のリズムが日本らしさや歌謡曲らしさを演出しているとも言えます。
メジャー・マイナーコードの明確な使い分け
昨今のポピュラー音楽のように、メジャーコードもマイナーコードもごちゃまぜで使っている様子は、歌謡曲ではあまり見られません。
メジャースケールの曲はメジャーコード、マイナースケールの曲はマイナーコードというように、音楽理論の基本に則ったコード進行が多く使われている印象です。
これらの特徴を取り入れ、曲を作っていきます。
参考曲
歌謡曲を一切聞かずに1から、しかも2時間以内に曲を作るのはほぼ不可能に近いです。
そのため、初めてのジャンルを作るときは必ず参考曲を選ぶようにしています。
今回は
こんな曲や
こんな曲、
こんな曲のメロディやリズム・編曲を参考に、曲を作ることにしました。
曲の解説(作曲)
今回解説する曲の構成は
- 最初~21秒付近:イントロ
- 21秒付近~41秒付近:Aメロ
- 42秒付近~1分1秒付近:Bメロ
- 1分2秒以降:サビ
です。
今回使う音階はFメジャーのヨナ抜き長音階(ヨナ抜きヘ長調)で、構成音はF,G,A,C,Dとなります。(B♭とEは除外)
この音階は、Aメロの一部・Bメロ以外のパートで用いています。(BメロはDマイナースケール)
また、メロディや対旋律・ドラム等も含めて、シンコペーション等はごく一部で使うのみに留め、表拍中心でフレーズを作っています。
これで、表拍強調の歌謡曲っぽいずっしりしたリズムが作れます。
以下に、個別のパートを解説していきます。
メロディ
イントロ
ストリングスフレーズ
ストリングスのフレーズが入ります。
このフレーズはもちろんヨナ抜き音階で、いかにも歌謡曲な感じを意識しました(笑)
ヨナ抜き長音階なので、メジャースケールの4番目B♭と7番目Eの音を避けるようにフレーズが作られているのがお分かりいただけるかと思います。
Aメロ
Aメロメロディ
アコーディオンでメロディが入ります。
一部ヨナ抜き長音階に含まれないEの音が入っていますが、それ以外は全てヨナ抜き音階で作っています。
Bメロ
Bメロメロディ
このパートのみ、一時的にDマイナースケールで作っています。
ヨナ抜き音階だけだと表現のバリエーションに限りがあるため、一時的に別のスケールを使っています。
また、Aメロではメジャースケール(長調)を使って明るい雰囲気を出していたので、Bメロではその対比で少し暗めな雰囲気にします。
そのため、Fメジャースケールの平行調であるDマイナースケールでメロディを作っています。
サビ
サビメロディ
再びヨナ抜き長音階に戻ります。
サビは曲中で一番盛り上がるパートなので、メロディも全パートで一番高い音を組み込みます。(今回は1オクターブ上のF)
また、メロディの音域もAメロやBメロより広くなるようにします。(Aメロ:1オクターブ、Bメロ:短7度、サビ:約1オクターブ半)
これも、サビで盛り上がるようにする工夫の一つです。
コード進行
イントロ・Aメロ
コード進行(イントロ・Aメロ)
区切り方の違いはありますが、イントロとAメロはともに
F→B♭→C→F
というコード進行を使っています。
歌謡曲は比較的シンプルなコード進行が多く用いられるので、今回の例でも3和音のシンプルなカデンツを使うことにしました。
Bメロ
コード進行(Bメロ)
Aメロとの対比で、コードのバリエーションを増やしています。
BメロではスケールをDマイナースケールに変更したので、使うコードもマイナーコードを多めに使っています。
Bメロ4~5小節目にあるA→Dmのコード進行はドミナント(D)→トニック(T)へと解決する進行で、Aの部分で一時的にスケールアウトした響きになります。
同じように、Bメロ最後にあるA7も、サビの頭にくるDmへと進むA7→Dmの一部で、D→Tと進みます。
ただ、セブンスの音が足されたA7の方がAよりも緊張感が高く、D→Tによる緊張→解決の効果がより強調されます。
さらに、サビの手前で曲がいったん途切れるので、Bメロ最後のA7からサビ頭のDmに進んだ時の"解決した感"はますます大きくなり、サビをより強く印象付けることができます。
サビ
コード進行(サビ)
一部を除き、典型的な小室進行(Dm→B♭→C→F)を使っています。
(自分が聞いた限りでは)歌謡曲に小室進行を使った曲は1曲も見当たらず、正直使うべきか迷いましたが、時間の都合もあったので、自分がメロディを思いつきやすいコード進行を使うことにしました。
おわりに
今回は、ヨナ抜き音階を使った歌謡曲らしいメロディの作り方と、コード進行の割り当てについて記事を書きました。
今回初めて歌謡曲を作りましたが、検索してヒットした曲はどれもキャッチーで味わい深いメロディばかりでした。
歌謡曲の肝になるのはやはりメロディで、メロディをいかに作り込めるかが曲のクオリティに関わってくるのだと思います。
今となっては「古臭いもの」と扱われがちですが、メロディの作り込みには見習うべきものがあると感じました。
今後も自分が歌謡曲を作るかどうかは分かりませんが、他ジャンルの曲作りにも参考にしていきたいと思います!
それでは、今回はこの辺にしておきます。
ではではノシ