中パンダイアリー

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【作例あり】Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰ(ツーファイブワン)を使って2回連続転調する

どうも、中パンダです。

 

作曲をしている方の中には、曲調に変化を付けたいという場合に転調を使う方も多いかと思います。(自分もよくやります)

今回は、曲中でよく使われるコード進行を使って、1回のみならず2回繰り返し転調する小技について解説しようと思います!

また例によって、深夜の2時間DTMで作った曲を解説に使います。

こちらの曲です。

 

少しトリッキーですが、この曲の37~40秒付近で2回連続転調をしています。

今回は、この付近でどのような仕組みで転調しているのかについて記事を書こうと思います!

 

2021/7/18追記:Audiostock配信用インストフルバージョンです。原曲がFマイナースケールなのに対して、こちらはG#マイナースケールで作っています。 本記事の解説では使っていませんが、気に入っていただけましたらぜひこちらも聞いてみてください!

 

 

コード進行について

今回はツーファイブワン(度数表記でいうⅡ→Ⅴ→Ⅰ)というコード進行を使います。

 

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ツーファイブワンのイメージ(Cメジャースケールの場合、Dm→G→C)

 

このコード進行は、コード機能で表すとサブドミナント(SD)→ドミナント(D)→トニック(T)という模範的なカデンツになっています。

コードはD>SD>Tの順に緊張感を持つので、このコード進行は進むにつれて次第に緊張感を高める進行だと言えます。

加えて、このコード進行は4度上(もしくは5度下)へと進む進行(強進行)を2回連続で使っているため、ぐいぐい前に進んでいく感じの印象を与える進行となっています。

そのため、AメロやBメロ・サビなど、各パートの終端部分で使うとより効果を発揮します。(パートの途中でももちろん使えますが)

(強進行とは何か等、理論の詳しい内容については、下記参考動画の説明が分かりやすいと思います)

 

参考動画↓

www.youtube.com

 

曲中での使用

曲の概要

今回解説する曲の構成は

  • 最初~20秒付近:Aメロ
  • 20秒付近~40秒付近:Bメロ
  • 40秒付近以降:サビ

です。

曲のスケールは当初F#マイナースケールで作っていましたが、後日修正を加えた関係でFマイナースケールに変更しました。

以降、Fマイナーの方で解説を進めます。

 

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解説部分のコード進行(途中で2回転調する)

Bメロの終わりからサビの頭にかけてツーファイブワンを使っています。

 

コード進行の工夫

元々この部分のコード進行は、下のようにBメロからサビにかけてA♭→G♭と進むことで転調するようにしていました。("|"の区切りは1小節の区切りを表す)

 

(Bメロ)D♭ | Cm | B♭m | A♭ |

(サビ)G♭ A♭ | B♭m Fm |

 

この時点で、BメロまでFマイナースケールだったものがB♭マイナースケール(半音5つ分上)へと1回転調しています。

これはこれでありですが、個人的にBメロの終わりではサビへの期待感や進行感をより強く持たせたかったので、この部分にはもっと別のコード進行を組み込もうと考えました。

 

ここで、Bメロ最後に出てくるA♭とサビ頭のG♭について、度数表記の読み替えをしてみます。

すると、A♭はFマイナースケールのⅢであると同時に、G♭メジャースケールのⅡであると読み替えることができます。

 

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Fマイナースケールの度数表記

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G♭メジャースケールの度数表記

また、サビの頭にあるG♭はB♭マイナースケールにおけるⅥ(D♭メジャーにおけるⅣ)であると同時に、G♭メジャースケールにおけるⅠであると読み替えることができます。

 

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G♭メジャースケールの度数表記

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B♭マイナースケールの度数表記

 

G♭メジャースケールにおいて、「Ⅱ→Ⅰへと進行し、かつサビへ強く進行する感じを出せるコード進行」は何かないかと考えたとき、今回のテーマであるツーファイブワンに行きつきました。(ⅡからⅤを経由してⅠへと進行する)

ひとまず、3和音のままツーファイブワンを組み込みます。すると、次のようなコード進行になります。(赤字箇所)

 

(Bメロ)D♭ | Cm | B♭m | A♭ D♭ |

(サビ)G♭ A♭ | B♭m Fm |

 

これはこれでありです。

A♭もD♭もB♭マイナースケールに含まれるコードなので、転調させる必要が無ければこのまま使ってもよいと思います。

 

 ただ今回は、この部分でG♭メジャースケールに転調させる方向でコード進行を組みます。

このとき、ある問題が生じます。

先ほどの図にもちらっと書きましたが、G♭メジャースケールのⅡは実際にはA♭ではなくA♭m(マイナーコード)です。

このままでは、G♭メジャースケールの雰囲気が出ません。

そのため、整合性をとるためにA♭をA♭mに変更します。

 

(Bメロ)D♭ | Cm | B♭m | A♭m D♭ |

(サビ)G♭ A♭ | B♭m Fm |

 

さらに、ツーファイブワンはメジャースケールの場合Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰの形で使われることが多いので、BメロのA♭をA♭m7に、追加して出てきたD♭をD♭7に変更します。

すると、| A♭m7 D♭7 | の区間で一時的にG♭メジャースケールに転調し、さらにD♭7→G♭の進行でB♭マイナースケールへと転調することができます。

このようにして、コードが3回変わる間に2回連続で転調することができるのです。

出来上がったコード進行は次の通りです。(赤字箇所が組み込んだツーファイブワン)

 

(Bメロ)D♭ | Cm | B♭m | A♭m7 D♭7 |

(サビ)G♭ A♭ | B♭m Fm |

 

スケール違いに注意

部分転調する際は全般に言えますが、他の楽器パートを編集するときは、この場所のスケールが何かを再度把握しておく必要があります。(特にメロディ)

うっかり別のスケールの音を使ってしまうと、不協和音になっておかしな響きの曲になる場合があります。(逆に意図的に不協和音を使うやり方もありますが…)

今回の曲でも、スケールに無い音を使ってしまわないように注意しながら、メロディ逐一修正して作りました。

 

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各パートのメロディとスケールの関係

 

おわりに

今回は、ツーファイブワンを使って連続で転調をするという小技について書きました。 

転調のやり方にはいくつもパターンがあり、それだけでいくつも記事が書けてしまうくらい奥が深いです。

今回のやり方も、数ある転調方法の一つとして参考にしていただければ幸いです。

実を言うと、この「ツーファイブワン転調」は自分も初めて使いましたが、なかなかトリッキーな雰囲気が出せて面白いと思いました!

3和音ならロックでも使えそうなので、今後も使えそうなら使っていこうと思います!

 

それでは、今回はこの辺にしてきます。

 

よいお年を!

 

ではではノシ