どうも、中パンダです。
自分はときどき深夜の2時間DTMをやっていますが、抽象的なものから具体的なものまで幅広くお題が出されます。
例えば、「画像からイメージした曲」というものがあります。
この手のお題は頻度は低いものの、過去に数回出されたことがあります。
今回のお題はこんな画像でした。
フリー画像だそうです
画像を見ながらイメージを膨らましていき…
最終的には下のような曲が出来上がりました。
タイトル:Take You to Illusion#深夜の2時間DTM 画像からイメージした曲
— 中パンダ@冬コミ4日目西I-10b (@whitepanda924) 2019年8月3日
やや遅刻…
森の中を歩いていると、一頭の鹿が立っていた。
近づこうとした瞬間、目の前が真っ白になり幻想の世界へと引き込まれていった…
という裏設定で、バラードで作るはずがロックな曲に仕上がりました(汗) pic.twitter.com/hkRHEzdEND
お題として出されていた画像がどこか叙事詩的な雰囲気だったため、叙事詩的な曲を目指して作曲しました。
今回は、特にマイナースケールの曲において、このような叙事詩的な雰囲気を演出するための工夫について、作った曲を交えながら記事を書こうと思います!
音階の工夫
叙事詩的な曲の特徴
「叙事詩的な曲」というのは抽象的な表現ですが、例えば映画音楽やゴシックメタル、あるいはそれらのジャンルと同じ特徴がみられる曲を指します。
西洋音楽なので、基本となるのは7音からなるダイアトニックスケールです。
しかし、これらの曲を注意深く聴いていくと、いくつかの曲では、スケールを構成する音の使用頻度に偏りがあることが分かりました。
具体的には、マイナーダイアトニックスケールの場合、6度の音が明らかに使用頻度が低い(もしくは全く使われない)のです。
そこで自分は、この"6度が欠けたマイナーダイアトニックスケール"を抽出して、叙事詩的な曲が作れるのではないか?と考えました。(あくまで自分の耳で聴いたイメージに基づいているので、絶対とは言い切れませんが…)
"6度抜きマイナースケール"(Cマイナーの場合:C,D,E♭,F,G,B♭)
和風な雰囲気が出せる音階にヨナ抜き音階やニロ抜き音階などと名前が付けられているように、今回解説するスケールは便宜上"6度抜きマイナースケール"と呼ぶことにします。
イントロ部分が該当
曲全体が該当
イントロのメロディ以外が該当
ここに挙げた曲はいずれも、6度抜きマイナースケールが使われています。
今回は、これらの曲を参考に作曲しました。
先行事例
"6度だけが抜かれた音階"という発想は、東方ProjectというゲームのBGMの多くがこのスケールで作られているという考察記事から来ています。
東方ProjectのBGMは和風音階の一種であるニロ抜き短音階がメインで使われていますが、和風音階とは一味違った独特な哀愁漂う雰囲気を持っています。
参考記事にもあるように、これらの曲ではニロ抜き音階とは言いつつも、2度の音に関しては比較的多く使用されています。
そのため、ある意味6度抜きマイナースケールが使われているとも解釈できます。(ただ、使用頻度はメインのニロ抜き短音階と比べると少ないようです)
ゴシックメタルというジャンルはもっと前からありましたが、ゴシックメタルに東方BGMの考察内容を重ね合わせた結果、いくつかの曲には同じスケールが使われている可能性がある、と分かりました。
したがって、このスケールに基づき、なおかつ2度の音の使用頻度を下げて作曲すれば、理論上"東方っぽい曲"も作ることができるはずです。(機会があれば別記事で解説します)
曲の解説
曲の構成は
- 最初~22秒付近:イントロ(ゆったり)
- 22秒付近~42秒付近:イントロ(高速)
- 42秒付近~1分1秒付近:Aメロ
- 1分2秒以降:アウトロ
です。(後日、フルバージョンを完成させたので便宜上こういう名称です)
今回解説する曲はGマイナーの6度抜きマイナースケールで、構成音はG,A,B♭,C,D,Fとなります。(E♭は除外)
イントロ(ゆったり)
ピアノとストリングスのみのゆったりとしたパートです。
ピアノメロディ(イントロ)
ピアノの方で6度抜きマイナースケールを使っています。
ダイアトニックスケールを構成するE♭の音を避け、和風音階では使われないAの音が使われている様子がお分かりいただけるかと思います。
イントロの静かなパートでこのスケールを用いることで、この曲が叙事詩的な雰囲気の曲であると聴き手に意識させています。
イントロ(高速)
テンポが上がり、楽器が増えて音圧も上がります。
このパートではストリングスをメイン楽器にし、そこに6度抜きマイナースケールを使っています。
ストリングスフレーズ
音が飛び飛びになっていますが、スピッカートとスタッカートの奏法を切り替えて演奏している関係でこうなっています。
先ほどのイントロ(ゆったり)パートと同じく、E♭の音が無く、Aが頻繁に使われている様子がお分かりいただけるかと思います。
Aメロ
ピアノメロディ(Aメロ)
ピアノのメロディが入ります。(フルバージョンはボーカルが入っています)
前のパートと同じく、E♭の音が無く、Aが(ry
例外的に、最後の一部のみF#の音が入っていますが、これはこの部分のコードがD7であるため、コード構成音に合わせてF#を使っています。
アウトロ
ピアノ対旋律
イントロで鳴っていた楽器に加え、ピアノの対旋律が入ります。
曲の雰囲気を崩さないため、対旋律でも6度抜きマイナースケールを使っています。
E♭の音が無く、Aが(ry
※この対旋律の前半3小節ほどは、Fメジャーのニロ抜き音階(ニロ抜きヘ長調)と同じ音になっているので、人によっては沖縄っぽく聞こえるかもしれません。
おわりに
今回は、6度抜きマイナースケールを使って叙事詩的な曲を作る方法について解説しました。
ゴシックメタルなどに見られる音楽理論的な特徴は、他にもいくつかあり、こうすれば必ず叙事詩的になるというものはありません。
あくまで自分の感覚で考えた持論のようなものではありますが、今回記事にしたやり方が叙事詩的な曲を作る手段の一つとして参考になれば幸いです。
今回作った「Take You To Illusion」という曲は、後日フルバージョン(ハウスアレンジ)を作って、初音ミクの曲としてアルバムに収録しました!(歌詞の都合でタイトルを「Take Me To Illusion」に変えていますが)
アレンジは違いますが、もしよろしければこちらもぜひ見て言っていただけるとありがたいです。
叙事詩的な曲に限らず、今後も様々な曲を作って、解説記事なども書いていこうと思います!
それでは、今回はこの辺にしておきます。
ではではノシ