中パンダイアリー

作曲のTIPS、日々の活動など色々書いていきます。同人音楽・音楽配信等の情報もこちらに書いていきます。

Cubase Pro 10でBPM172800を再現してみた

どうも、中パンダです。

 

初めに断っておくと、今回の記事はネタ要素多めになります…

軽い感じで読んでいただけると嬉しいです

今回は、Cubase Pro 10で再現できるBPMの限界と、その時何が起こっているかについて記事を書いていきたいと思います。

 

まず、Cubase Pro 10になって、テンポ変更機能で変えられるBPMの上限が引き上げられました。

自分が以前使っていたPro 8ではBPM300が限界でしたが、Pro 10になってBPM360まで設定できるようになりました。

 

しかし、ここで自分はこう思いました。

 

 

もっとBPMを速くできないものか・・・

 

 

 

できます!

 

見方を変えることで、さらにBPMを上げることができます!

 

上限突破の方法

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そもそもBPMとは、Beats Per Minuteの略で、一般的には「1分間に何回4分音符を鳴らせるか」という意味で用いられています。("4分音符"という所がミソ)

ここで、4分音符が1拍ではなく、8分音符が1拍であるととらえてみましょう。

 

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すると、拍の密度が2倍になるので、DAW側で設定したテンポの2倍のBPMになったと見なすことができます。

 例:Cubaseのテンポトラック上で100→BPM200相当

ただ音符の数を倍にしただけなので、譜面的には見ればBPMは変わりませんが、聴覚的には今鳴っているのが4分音符か8分音符かは"何となく"しか判別できません。

そのことを利用して、譜面上で8分音符のものを4分音符と錯覚させ、聴覚上BPMが2倍になったように聞こえさせます。

 

"聴いた感じ"が大事!

 

同じように、16分音符を1拍ととらえると、BPMは4倍になります。

このようにして、Cubaseのテンポトラックで設定できるBPM値の上限を超えてBPMを上げていきます。

 

真の上限

では、このやり方でBPMはどこまで上げられるのでしょうか?


DTMにおいて、音符や楽器・テンポなどの各種データはMIDIデータとして記録されます。このとき、入力される音符(ノート)の位置や長さをコントロールする最小単位はtickと呼ばれ、4分音符一つ分の長さの480分の1に相当する長さを1tickと呼びます。(480tickで4分音符1つ分の長さ)

つまり、1tickごとにノートを打ち込み、1tickの長さが1拍であるとみなせば、理論上最高BPMを出せるはずです。

この時、4分音符1つ分を1拍としたときの480倍のBPMが出せるので、Cubase側でBPM1に設定した時点で計算上既にBPM480になっています。

先ほども書きましたが、CubaseBPM上限値は360なので

  360×480=172800

と、なんとBPM172800まで再現することができます!
(ちなみに、Pro 8では同じ方法でBPM144000までしか再現できませんでした。)

 

というわけで…

 

BPM172800を再現してみました!!!

 

 

BPM180から徐々に加速していき、最終的にBPM172800相当の速度に達します。

 

・・・最後の方はもはや鳴っているのがキックであったことを忘れさせるような、甲高い音になります(笑)

 

キックの音色の変化

さて、動画ではキックのみ打ち込んでいますが、BPMが上がるにつれてだんだん楽器のように一定の音程で音が鳴るようになります。

通常、キックのようなドラム系の楽器には、ピアノやギターなどとは違い基本的に音程を持ちません。(ティンパニのような音程を持つ楽器も一部ありますが…)

 

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また、時間と共に発音する周波数が変化します。(TR-909系のキックの場合、鳴り始めは高音中心で、徐々に低音側にシフトしていきます)

 

ではなぜ、音程を持つようになるのでしょうか?

 

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これはキックの波形を表したものですが、BPMが上がるにつれて波形同士が重なっていきます。

 

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今回の設定では、前のキックと次のキックのつなぎ目で音が完全に切り替わるようにしてあるので、理論上キックは1つしか鳴っていません。

※設定によっては、つなぎ目より先でも前のキックの波形が残り、次のキックと重ねることもできます。ただその場合、BPMが上がるにつれて重なるキックの数が多くなり、その分音が増幅されるので音割れが発生します。(実際に試したところ、BPM172800で1000以上のキックが鳴っていました(汗))

 

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さらにBPMを上げていきます。

 

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先ほど、"時間と共に周波数が変化する"と書きましたが、キックの重ねる間隔が短くなると、周波数がシフトする前に次のキックの音が鳴ることになり、その結果、一定の音程で音が鳴っているように聞こえます。

 

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さらに間隔が短くなると、キックだった音色の繰り返しパターン(図の赤線の間隔)を一周期として、この長さを1波長とする新しい音程の音が聞こえ始めます。そのため、音程がどんどん高くなっていきます。

このとき、繰り返しパターンよりも波長の長い音(周波数の低い音)は理論上鳴りません。

BPM172800の場合、このパターンは1秒間に2880回繰り返されるので、2880Hz以下の音は鳴らないはずです。

しかし、実際にCubase上で再生すると所々大きな低音が入っており、BPMが上がるにつれて頻繁に入るようになります。(BPM172800ではもはやほとんどノイズしか鳴っていない…)

かなり無茶な打ち込みをしているので、DAWや音源の内部処理が追い付いていないからかもしれませんが、少なくとも今の自分のDTM環境では再生がうまくいっていないと言えます。

 

おわりに

今回の検証で、Cubase Pro 10のテンポ変更機能と打ち込みの工夫でBPM172800まで再現可能であることがわかりました。

くだらない検証ですが、最後までお付き合いくださいましてありがとうございます!(汗)

こんな記事はあまり書かないと思いますが、また面白そうなネタが見つかったらそれも記事にしようと思います(笑)

 

それでは、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ

 

 

【自作曲解説】魅力的な対旋律で曲全体を華やかにする

どうも、中パンダです。

突然ですが、皆さんは対旋律(カウンターメロディ)というものをご存じでしょうか?

(知っとるわそんなもん!!という方、失礼しました…)

自分が対旋律というものを知らなかった頃、自分が作った曲とメジャーアーティストの曲を聴き比べて、「何か華やかさが足りない…」という悩みを抱えていました。

音楽理論を勉強していくうちに、どうやら曲の華やかさに影響を与える別の要素があるらしいことを知り、その一つが対旋律でした。

今回は、曲がより華やかに聞こえる対旋律の作り方について、自作曲を交えながら記事を書いていきたいと思います!

 

この記事で解説する曲は、去年深夜の2時間DTMで作ったこちらの曲です。

 

お題は「秋風をイメージした曲」です。

本当は歌詞をつけてボーカル曲にしたかったんですが、時間が無くてインスト曲のまま完成にしました。

 

この曲に関する他の記事↓ 

whitepanda924.hatenablog.com

 

 

対旋律(カウンターメロディ)とは?

ポップス音楽を聴いていると、ボーカルが歌うメロディとは別に、独立した何かメロディ的な楽器が鳴っている場合があります。

これが対旋律です。

別の言い方では「裏メロディ」「副旋律」などとも呼んだりします。

 

www.youtube.com

例えば、菅田将暉の「まちがいさがし」のサビですが、ボーカルと声を掛け合うようにストリングスのフレーズ(一部ピアノも)が鳴っています。

曲全体が華やかになるアレンジの一つに、伸ばし音でコードを鳴らすという手法がありますが、この曲ではコードではなくフレーズを演奏することで、曲全体に華やかさを演出しています。

 

www.youtube.com

ボーカル曲ではありませんが、分かりやすそうな別の例を…

この曲の場合、ピアノがメインとなるメロディ、バイオリン系が対旋律となります。

特にサビではメロディと対旋律が交互に奏で合い、楽器数が少ないにもかかわらず壮大で華やかな感じに聞こえます。

このように、対旋律を取り入れることでメロディだけでは埋められない音の空白部分が少なくなり、曲全体が華やかに聞こえるという効果があります。

 

今回紹介する自作曲を例にすると、20秒~57秒付近(以下、バース)ではエスニックフルート(以下、単にフルート)がメインのメロディ、ピアノが対旋律を奏でています、また、1分17秒以降(以下、ドロップ)ではパーカッションっぽい音色のシンセがメインのメロディ、フルートが対旋律を奏でています。

 

対旋律の作り方

注意点

対旋律を作るにあたって、注意すべき点が1つあります。それは、

 

メインのメロディより目立たない

 

ことです。

曲の主役はメロディで、対旋律はあくまでメロディの引き立てるいわゆる脇役です。

主役より脇役が目立ってしまうと、聞き手は主役のメロディがどれかわからずに混乱してしまい、場合によっては対旋律として作っていた方がメロディだと勘違いしてします。

また、せっかくメッセージ性のあるキャッチーなメロディを作っても、目立ちすぎる対旋律によって効果が薄れてしまいます。

押すべきものと引くべきものはきっちり分けたほうがいいですね!

 

というわけで、主役より目立たないようにしましょう!

具体的には、

  • 音量が大きくないか
  • 音程が派手に動きすぎていないか
  • フレーズが細かすぎないか

 を確認しながら作るといいかと思います。

 

リズムの工夫

メロディと対旋律は相反するようなリズムを取り入れると、音の空白が埋まり華やかに聞こえます。

具体的には、メロディが伸ばし音のときに対旋律は細かく刻んだフレーズを使い、メロディが細かく刻んでいるときは対旋律を伸ばし気味に作ります。

 

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フルートとピアノのリズム関係イメージ(バース)

ごちゃごちゃして見にくいかもしれません…(汗)

メロディとなるフルートと、対旋律となるピアノのトラックを重ねて表示しています。(上がフルート、下がピアノ)

今回のバースは4小節単位のブロックでループする構成にしていますが、ざっくり言うと最初3小節はフルートを伸ばし気味にしてピアノを刻み、4小節目ではピアノを伸ばしてフルートを刻む、というリズムにしています。

一部、メロディと対旋律で同じフレーズの刻み方をさせている部分がありますが、基本的には異なる刻み方を意識して作っています。

これによってパートの雰囲気を作り、奥行きを持たせています。

 

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 フルートとピアノの音程イメージ(ドロップ)

メロディとなるシンセと、対旋律となるフルートのトラックを重ねて表示しています。(上がフルート、下がシンセ)

ドロップではシンセが細かいフレーズを刻み、それと釣り合わせる形でフルートを伸ばし中心のフレーズにしています。

フルートはドロップに入ってから9小節目以降で入ってきますが、前半8小節がそのまま後半も繰り返される形になるので、聞き手が飽きないようにという意味も込めて対旋律を入れました。

 

音程の工夫

メロディと対旋律は反進行するようなフレーズを使うと華やかに聞こえます。

具体的には、メロディが上行(音程が上がっていく)するときに対旋律は下行(音程が下がっていく)させ、メロディが下行するときに対旋律は上行させます。

 

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フルートとピアノの音程イメージ(バース)

同音連打(同じ音を繰り返し鳴らす)も広い意味で反進行だととらえると、バースは上のイメージのようになります。

所々、メロディと対旋律が並行している部分もありますが、反進行を意識した対旋律フレーズにしました。

 

この作り方は、クラシック音楽における対位法の考え方を参考にしていますが、ポピュラー音楽でも十分戦力として使うことができます。

もっとも、何百年も前のクラシック音楽から形を変えて現代に伝わったものがポピュラー音楽なので、広い意味でクラシック音楽の延長線上にあると言えるかもしれません。

 

おわりに

今回は、曲が華やかに聞こえる対旋律の作り方について書きました。

ポップス音楽においては、メインメロディ・ベース・ドラム・コード楽器(ギター等)が基本構成になりますが、対旋律が加わることで音の空白がより少なくなります。

今まで対旋律とは無縁だった方は、一度自身の曲にもう1トラック追加して作ってみてはいかがでしょうか?(最初は難しいかもしれませんが、作っていくうちに徐々に慣れていきます)

 

今回紹介した自作曲について、実際のところもう少しリズムや進行にこだわりたかったですが、まだまだ作り込みが甘いところもあり、まだまだ修行が必要なようです(汗)

今後もいろんな曲を聴いて作って、少しずつレベルアップしていこうと思います!

 

それでは、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ

 

 

【自作曲解説】3和音のマイナーコードを使うだけで能天気な曲に深みが出る

どうも、中パンダです。

 

今回は、どこにでもある3和音でも、メジャーコードとマイナーコードの性質が十分引き立つような使い分けについて記事を書いていきたいと思います!

今回解説に使う曲は、少し前になりますが1年半ほど前に深夜の2時間DTMで作ったこの曲です。

この時のお題は「場面設定:霜柱を踏んづけて」です。

 

2021/7/18追記:Audiostock配信用のリメイク版です。もし気に入っていただけましたら、こちらもぜひ聴いてもらえればと思います!

 

 

コンセプト

コンセプトは、「子供たちが元気に跳ねている午前中」です。

跳ねた感じを表現するために、全体的に表拍を強調するリズムにして、軽くスウィングさせています。

 

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ピアノフレーズ

子供たちが元気に跳ねるような風景を思い浮かべてもらえれば幸いです(笑)

 

コード進行

イントロパート(最初~17秒付近)

ピアノとキラキラ系シンセのパートです。

このパートではベースはありませんが、Fのコードが鳴っているとみなして他の楽器パートを作っています。

ピアノパートは、左手がFで右手のコードがどんどん変わっていくような、いわゆるオンコードを意識したフレーズにしました。

 

メインパート(17秒以降)

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今回使ったコード進行はF→B♭→C→Fで、一部を除きこのコード進行をループさせて使っています。

音楽理論的に説明すれば、T→SD→D→Tと進行するごく基本的なカデンツです。

(T,SD,Dについてはこちらの記事の"音楽理論の前置き"で説明しています)

 

コード進行の例外

3回目のループのとき、最後のFをDmに変えて F→B♭→C→Dmにしています。

2回目のループまではずっとF→B♭→C→Fできたので、聞き手は「次のループもおそらくF→B♭→C→Fと続くだろう」と無意識に推測します。

しかし、Dmにすることでコード進行にバラエティが生まれ、曲全体が少し深みを持った感じに聞こえます。

また、Dmというマイナーのコードが出現するまでは、全てメジャーコードを使っています。

ここまでずっとメジャーコードが続いてきたのですから、聞き手の耳は"メジャーコード耳"として馴染んでいきます。馴染んできたタイミングでマイナーコードを挿入することで、大して特徴のないただのマイナーコード」がスパイスのような役割を果たし、聞き手の意表を突くことができます。

4回目のループでは、何事もなかったかのようにF→B♭→C→Fで締めくくっています。

 

マイナーコードを混ぜた理由

メジャーコードは明るくて陽気な感じ、マイナーコードは暗く陰鬱なイメージとして説明されます。

今回の曲がもし全てメジャーコードだと、

 

とにかく明るく!元気に!

ほっぷ!すてっぷ!じゃんぴんぐ!(*´▽`*)

 

な雰囲気になります。

それはそれでアリですが、自分はそれだと

 

ストレート過ぎてつまらない

 

と感じました。

人生楽しいこともあれば悲しいこともあります。

楽しいことだけの人生なんてありえないのです。

というわけで、暗い雰囲気のあるマイナーコードを曲の雰囲気が壊れない程度に1か所だけ挿入しました。

 

まとめ

今回は、メジャーコードだらけの曲にマイナーコードを挿入して、曲に味を出すという手法を紹介しました。

音楽理論を勉強していると、どうしても難しいコードやコード進行を使ってしまいがちですが(自分も含めて)、シンプルな3和音だけでも、使い方次第では十分曲に変化をつけることができます。

ポピュラー音楽だとあまりメジャーコード・マイナーコードの使い分けは意識されなくなってきていますが、この点を意識すると、もっと曲に深みを持たせられるのではないでしょうか?

 

というわけで、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ

【自作曲解説】フリジアンスケールを意識して怪しい雰囲気を演出する

どうも、中パンダです。

以前書いた音楽理論を使った作曲の記事を読んでくださっている方が思ったより多く、自分としてはとても嬉しく思います!

そういうこともあって、今後も定期的にこの類の記事を書いていこうと思います!

 

今回も、曲の雰囲気に関わる音楽理論について、自作曲を例にしながら解説していきます!

今回解説するのは、2019年5月19日に「深夜の2時間DTM」で作った曲です。

この時に出されたお題は「怪しい取引現場をイメージした曲」です。

 

 

怪しい雰囲気って・・・何?

 

 

そう考えている間に時間はどんどん無くなっていきます。

今まで聞いてきた曲を思い出しつつ、「怪しい」という雰囲気をググりながらイメージを膨らませ、考えに考えた結果・・・

できた曲がこちらになります!(後で修正を入れています)

 

 

2021/7/18追記:Audiostock配信用のリメイクバージョンです。もし気に入っていただけましたら。こちらもぜひ聴いていただければと思います!

 

今回はこの曲について解説していきます。

 

 

スケールについて

 

今回の曲では、44秒~1分05秒はマイナースケール、それ以外はフリジアンスケールを使っています。(修正する前は全てマイナースケールでした)

フリジアンスケールは、ドリアンスケール等と同じく教会旋法から抽出されたスケールで、ポピュラー音楽ではあまり見られません。

しかし、フラメンコなどに見られるスケール(スパニッシュスケール)と似ているので、使い方によってはスペインっぽい雰囲気になります。

また、その特徴的な響きから、メタルなどの荒くれた雰囲気の曲でも比較的多くみられます。

 

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C#フリジアンスケール

 

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C#マイナースケール

C#マイナースケールとの違いは主音から2番目の音で、D#であればマイナー、Dであればフリジアンスケールと聞き手に認識されます。

この主音から2番目の音は非常に特徴的(後述)で、この音が入るだけで曲の雰囲気が大きく変わることがあります。(今回解説する曲も、修正する前と後で雰囲気がかなり違っているのがわかるかと思います)

 

楽器パートについて

最初~44秒と、1分05秒以降は同じ構成で、今回の記事ではこの部分ついて解説します。コード進行はC#m(3小節)→A(2拍)→B(2拍)の繰り返しです。

メロディ

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ピアノフレーズはこんな感じで、最初の1小節をモチーフとして繰り返しフレーズの構成になっています。

所々でDの音を使い、フリジアンスケールっぽさを出しています。

Dの音を鳴らした時、C#mのルート(C#)と短9度(主音の1オクターブ上のさらに半音上)の関係になり、強烈な不協和音が生じます。そのため、全体的に癖の強い響きになります。

今回の曲では、この「癖の強さ」を「怪しい」と読み替えてスケールを使いました。

 

ちなみに、フレーズの一部でスケールには無いCの音を使っていますが、これは次に来る主音(C#)につなげる導音としての効果を増幅するために使っています。

導音は、各スケールにおける7番目の音で、主音に進みたがる性質があります。

導音と主音が半音違いの関係にあれば、導音→主音のメロディ進行の効果がより大きくなるので、今回はあえてCの音を使っています。(メロディックマイナーも参照)

 

和音

この部分ではフレーズを担当するのはピアノのみで、他はほとんどシンセの単音白玉(伸ばし音)です。

ここでの和音は、コードのルート音を中心に使い、3度の音は一切使っていません。

これは、あえてシンプルな編曲にすることで、和音ではなくスケールの響きに聞き手の意識を集中させるためです。これにより、怪しい雰囲気が際立つようにしています。

 

22秒以降はエレキギターと上物シンセが加わりますが、使っている和音はパワーコードのみで、ここでも3度の音は一切使っていません。

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ギター打ち込みの様子

フリジアンっぽさをだすため、一部でDのパワーコードを使っています。

(ちなみに、音源はELECTRI6ITYを使っています)

 

カウンターメロディ

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ピアノや白玉シンセとは別に、カウンターメロディのシンセを鳴らしています。

こちらはG#の音を中心に、G#フリジアンスケールを意識したフレーズにしています。

 

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G#フリジアンスケール
スケールの構成音をよく見ると、C#マイナースケールと全く同じであることがわかります。

そのため、C#マイナースケールの曲調であっても、フリジアンの"怪しい"雰囲気を追加することができます。(修正前はこの方針で作ってました)

C#フリジアンスケールの曲調でも、Dの音以外はG#フリジアンスケールと構成音が同じなので、この点に注意すれば使うことができます。

今回作ったカウンターメロディは基本的にG#フリジアンスケールで作り、後半の一部だけDの音を使っています。(C#フリジアンの曲調に合わせるため)

そのため今回の場合は、C#フリジアンのメロディにG#フリジアンのカウンターメロディを乗せた、とも言えます。

 

まとめ

今回は、フリジアンスケールを使って怪しい雰囲気の曲を作ってみた、という一例を紹介しました。

作った直後はマイナースケールの曲調で作っていましたが、「フリジアンにした方が雰囲気でるのでは?」という発想になり、後日修正しました。

他にも「ここはもっとこうすればよかった」ということが多々あり、いくつか微修正を加えているところがあったりします。

やはり、2時間で1曲作りきるにはまだまだ工夫や修行が必要なようで、これからも頑張って作っていきたいと思います(汗)

 

こんな感じで、今回の記事はこのくらいにしておきたいと思います。

拙い記事ではありますが、気に入っていただけた方はお気に入り登録などをしていただければ、今後の励みになりますm(_ _)m

 

ではではノシ

初めて作るジャンルを高速で作る作曲方法

どうも、中パンダです。

最近作曲の時間が取れなくて、長時間DAWが開けない日が多くなりました(汗)

ただ、深夜の2時間DTMだけは"2時間"という比較的短い時間で完結する(動画制作を含めるともっとかかりますが…)ので時間が取りやすく、なるべく参加するようにしています。

先日も新しいお題が発表され、それに沿って曲を作ったわけですが、どうしても作りたいジャンルがあったので、「2時間で新しいジャンルの曲を作る」ことにしました。

今回はそのときの経験をもとに、初めてのジャンルで作曲するときにどのような手順で曲を作っているか、高速で作曲するにはどうするか、という自分なりの方法を紹介していきたいと思います!

 この記事で扱うジャンルは、最近流行っている(らしい?)未来的な響きのサウンドが特徴のFuture Bassです。

 

 

制作手順

情報収集

ググる

まずは、安直にGoogle

 

「FutureBass 特徴」「FutureBass 作り方」

 

で検索をかけます!(笑)

その中で、

最新の音楽ジャンル!Future Bass(フューチャーベース)とは? - Audiostock Tips

ジャンル解説~future bassってどんな特徴?超分かりやすい説明思い付いた

こういった記事や、

youtu.be

 

解説動画がある場合はこういったものも参考にして、ジャンルの特徴を【知識】として仕入れます。

調べた結果、どうやらFutureBassには

  • ボイスサンプルを使用
  • ドロップ後にハーフテンポ
  • コード進行はお洒落な感じに
  • シンセブラスみたいな音色の和音
  • ベースはシンプルに

という特徴があることがわかりました。(リンク先情報より)

また、ミディさんの他の動画では、おすすめのフリー音色素材が紹介されていたので、それもついでにダウンロードしました。

 

本当は、FutureBassと言われている曲を何十曲と聞いてじっくりとジャンルを味わうのがいいのかもしれません。

しかし、このやり方だと非常に多くの時間を取られてしまうので、制作時間が限られている場合(深夜の2時間DTM等)はかなり厳しいです。

そのため、予め情報がまとめられている記事や動画を参照して、素早く情報を仕入れます。

せっかく先人たちが「FutureBassとは?」についてまとめて下さているのですから、敬意を払ってこれらを使わせていただきましょう。(全ての情報が必ずしも正しいとは限らないですが、後述するやり方で補完します)

 

【追記】Futre Bass関連で別記事を書きました。こちらもよろしければ!

 

whitepanda924.hatenablog.com

 

 

同じジャンルの曲を聴く

次に、動画サイトで「FutureBass 曲」で検索し、検索に引っかかった曲を最低10曲聴きます。(解説ブログなどで動画リンクが貼られている場合は、そちらを聴くのもよいと思います)

動画を聴く前にジャンルの特徴をある程度掴んでいるので、より少ない曲数でジャンルのイメージを掴むことができます。

こうして、「このジャンルはこういうものだ」という自分だけの【経験】を持つことができ曲を作るときに自分らしさを出しやすくなります。

自分の場合、1曲に対して

  1. 曲構成(イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ等)を把握
  2. メロディとコード進行を把握
  3. リズムパターンを把握
  4. 使われている楽器(シンセサイザーの場合は音色)を把握
  5. 各楽器パートのフレーズを把握

という順番で曲を聴いていき、特徴を把握します。これを他の曲でも同様に繰り返します。

 

Future Bassを聴いて感じたのは、

  • ドロップ後は基本的にハーフテンポだが、すべてがそうではない(例:Perfume - Future Pop)
  • ベル等のキラキラサウンドが入っているケースが多い(Kawaii Future Bass)
  • ボイスサンプルはわざとらしくピッチを上げているケースが多い
  • 加えて、細かいリズムで刻ませるケースが多い

です。

ここで掴み取った特徴を、そのまま作曲に反映します。

 

制作開始

お題(テーマ)の確認

いよいよ制作に取り掛かります。

今回の制作テーマは深夜の2時間DTMで出された「アレンジ:Happy Birthday to You」です。

youtu.be

この曲をFutureBassアレンジしていきます。

個人的にこの曲はキラキラした雰囲気が合いそうだと感じたので、今回はKawaii Future Bassっぽく作っていきます。

 

参考曲を選ぶ

まず、参考にする曲を決めます。

今回は

youtu.be

この曲構成・リズムを参考に

 

www.youtube.com

サビの音色・フレーズをこれに似せ

 

youtu.be

この曲のコード進行(レットイットビー進行とも言う)を少し改変して作っていきます。

 

打ち込み

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初音ミクのボイスサンプルを作って

 

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切り貼りしてサンプラーに取り込んで

 

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オケと合わせて

 

完成!

最終的にできたのがこちらです!

 

おわりに

今回は初めて作るジャンルの曲をいかに早く作れるか、という方法について、自分なりのやり方を書きました。

この方法だと、比較的少ない労力で新しいジャンルに挑戦できるので、新ジャンルへの入門としては効果があるかと思います。

ただ、「早くできる」と書いてきましたが、しっかり曲を作るとなるとやはり普段からどれだけ多くの曲を聴き込んでいるかが大事だ、というのが正直なところです。

改めて自分の作ったアレンジを聞き返してみましたが、初めて作ったジャンルということもあって、まだまだ詰めの甘い部分が多いように感じました。

今回作った曲のイントロ部分は「Kawaii」と言っている割に可愛い要素がほとんどなかったり、曲全体でみてももうちょっとキラキラサウンドを入れてもよかったかな?と思ったり。(パーカッション系とか)

コードで鳴らしているシンセも、もう少し音色やボイシングを工夫すれば、もっと雰囲気を出せたような気がします。

 

「いかに早く作るか」を考える以外にも、普段から多くの音楽を聴くということも大事にしてきたいと思います!

 

こんな感じで、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ

2019年春M3にサークル参加します

どうも、中パンダです。

4月になりましたね。

今月から新生活が始まり、いろいろバタバタしていたという方も多いのではないでしょうか?

自分もその辺りの関係でいろいろとバタバタしていましたが、何とかなっています。

(いつもバタバタしているように見えるのは気のせいです)

 

さて、同人音楽サークル「PND音楽館」は来る4月28日(日)に東京流通センターで開催されるM3にサークル参加します!

配置スペースは第一展示場 G-16a です!

 

いよいよ平成最後のM3ですね!

皆さんにとって、平成の時代はどんな時代だったでしょうか?

なんと、M3のわずか2日後には平成から令和になり、文字通り新しい時代が始まります!

こんな時代の節目となるような日に、国家を司る首都東京で開催されるイベント"M3"という場でCDを頒布できるということを、とても光栄に思います!!

 

そこで!!!

 

そんな特別な日にふさわしい頒布物を用意しようと思います!!!!

 

(という発言をしたかった…)

 

今回の新譜ですが

 

 :

 

大げさな前振り失礼しました…

新譜を期待されていた方々には大変申し訳ないですが、今回も新譜はありませんm(_ _)m

旧譜になりますが、去年の夏コミで発表した「Alive Past Tragedy」を持っていきます。

なお、3rdアルバムと4thアルバムは大阪でのイベントで完売してしまったので、この1種類のみの頒布になります。

 

いつになく寂しいブースになってしまいますが、できる限り装飾して華やかにしようと思います…

 

こんな状態ですが、当サークルのブースに来てくださる方がおられましたら非常にうれしいです!

 

 

 

 

次こそは新譜ヲ…

新ユニット結成について

ご無沙汰しています、中パンダです。

1,2月は個人的にいろいろありましたが、気づけば3月ももう終わってしまいますね…(早い)

平成もあと1か月弱で終わってしまうらしいですが、全く実感が沸かないのは自分だけでしょうか…?

 

さて、既にTwitterでは告知していましたが、3/22に新曲投稿&新音楽ユニット「SONICboot」の活動開始を宣言しました!(曲はもっと前から作っていましたが(汗))

作曲編曲などを私中パンダが担当し、ボーカルをタクヤが担当します。

構想は去年の6月くらいから練っていましたが、延びに延びまくってこの時期になってしまいました(汗)

(実は、タクヤが大学を卒業するタイミングに合わせて投稿した、という経緯がありますがここだけの話です。)

 

sonicboost1128.wixsite.com

SONICboostホームページ

 

前々から「ボーカル曲に挑戦します」と言っていましたが、今回それを実践する形になります。

タクヤと共に様々な思いを曲にしていこうと思いますので、こちらもよろしくお願いします!

 

www.youtube.com

処女作品の「ライフ」では、「やりたいこと、やっていけばいいじゃん」という思いを込めて2人で歌詞を書きました!

ピアノの激しい旋律を際立たせたハードロックな感じの曲です。

ぜひ聴いていただければ!(´∀`)

 

そういうわけで、新ユニット結成のお知らせでした

 

ではではノシ