中パンダイアリー

作曲のTIPS、日々の活動など色々書いていきます。同人音楽・音楽配信等の情報もこちらに書いていきます。

第四回音けっとにサークル参加します

どうも、中パンダです。

12月になってしまいました。

今月は同人イベントに参加する機会が比較的多いので、宣伝もいつもより多くなるかと思います。

 

そういうわけで、さっそくイベント参加の告知をさせていただきます。

同人音楽PND音楽館」は、12月8日(日)に大阪の難波御堂筋ホールで開催される第四回音けっとにサークル参加します!

配置スペースは、B37 です!

 

音けっとについて↓

otoketto.jimdofree.com

 

久々に大阪でのイベント参加となります。

関西在住の方や、当日近くに行かれる方などはぜひイベントに足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

 

当サークルの頒布物としては、先日の秋M3で発表した新譜、昨年度の旧譜となっています。

 

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こちらがお品書きです。

 

当日イベントに行かれる方はぜひ、当サークルのブースにも遊びに来てください!

それでは、よろしくお願いします!

【自作曲解説】昭和時代っぽい歌謡曲の作り方(編曲編)

どうも、中パンダです。

 

前回の記事に引き続き、昭和時代の歌謡曲を意識した曲作りについて記事を書いていきます。

前回は作曲についてでしたが、今回は編曲についてです。

作曲編はこちら↓

whitepanda924.hatenablog.com

謡曲の雰囲気を出すには、作曲と同じくらい編曲も重要になりますが、その中でも特に、楽器選びとそれらのフレージングについて解説します。

※個人的な見解が多く含まれており、間違っている箇所もあるかもしれませんが、ご了承ください。

 

 

謡曲の特徴(編曲面)

編曲については、年代やアーティスト等によって様々ですが、おおよそ次のような特徴があるようです。

 

暖色系の音色

抽象的な言い方ですが、"暖色系"の音色が多く使われているように感じました。

具体的には、楽器の音がラジオサウンドのように高音域と低音域が緩やかにカットされた(4~6kHz以上と100~200Hz以下が減衰している)イメージです。

 

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音色イメージ

謡曲が作られた年代の"音源"の多くは現代ほどハイファイでクリアな音質だったとは言えず、籠ったような音になっています。

この音質が"レトロ感"を醸し出し、昭和のような、今となっては古くなってしまった時代のイメージに結びついているのではないかと思います。

また、年代が新しくなり音質が良くなっても、「低音や高音を強調せず、中音域中心で聴かせる」という特徴は変わっていないように感じました。

 

オクターブストリングス

ほとんど全ての歌謡曲にストリングスが使われています。

さらに、イントロや合いの手などのフレーズは、1オクターブ上の音を重ねて演奏するという技法がよく用いられます。

 

ブラスセッション刻み

ブラスセッションも多くの曲で使われており、スタッカートを利かせた短いフレーズで演奏される場合が多いです。

 

曲の解説(編曲)

先ほど書いた編曲面での特徴を取り入れ、曲を作ります。

今回解説する曲の楽器構成は、ドラム・ベース・ピアノ・ストリングス(コード&合いの手)・ブラスセッション(合いの手)・その他となっています。

以下に、各楽器の使い方を解説していきます。

 

ドラム

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ドラムフレーズ

曲全体にわたって、基本的な8ビートでフレーズを構成しています。

謡曲っぽいリズムにするため、表拍中心でフレーズを作り、表拍(今回は8分の表)のベロシティを高めに、裏拍を低めに設定します。

 

ベース

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ベースフレーズ

個人的に歌謡曲・演歌などでよく見られるフレーズ(コードのルート音:4分音符+5度音(or3度音):8分音符+ルート音:8分音符、およびその派生形)を採用しました。

ドラムと同様、表拍を意識してノートを置いていきます。

特に四分音符の部分は、伸ばしきるのではなく、少し長さを短くします

四分音符は表拍上にのみ使用していますが、こうすることで鳴っているノートの存在感が強調され、表拍も強調されます。

(ベロシティは時間が無かったので調整していません…)

 

ピアノ

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ピアノフレーズ

8分音符単位の和音で使っています。

シンコペーションなどは一切使わず、拍の上には必ずノートを置いています。(実際には、MIDI鍵盤で弾いたものをリアルタイム入力しています)

こちらもやはり、表拍を(ry

今回はサステインon/offを使って音符の長さ調整をしています。 

 

ストリングス

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ストリングスフレーズ

先ほど「オクターブ重ねたストリングスが入る」と書きましたが、今回は最初からオクターブで重なっている音色を選んでいるので、MIDI上では単音で打ち込んでいます。

 

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ストリングス和音

また、和音は開離配置(オープンボイシングで鳴らしています。

開離配置とは、ベースを除いた和音が1オクターブ以上の範囲で配置されていることをいいます。(1オクターブ以内に収まっていれば密集配置(クローズドボイシング))

今回は華やかな雰囲気にしたかったので、音域の広い開離配置でストリングスを鳴らすことにしました。

 

ブラスセッション

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ブラスセッションフレーズ

短く刻んだフレーズを、合いの手を打つように使っています。

使っている音源が細いので、音に厚みを持たせるために4度下の音を重ねています。

 

その他

曲に煌びやかさを加えるため、イントロやサビを中心にうっすらとベルの音を入れています。

 

おわりに

今回は、歌謡曲らしい編曲について、自作曲を交えながら紹介しました。

前回の記事と合わせて、これだけ特徴をおさえていれば、ほぼ歌謡曲が作れると言っても過言ではないでしょう。

ただ、2時間DTMの範囲で作ったものなので、作り込める部分はまだまだあると思います。

謡曲とは言ってもアーティストによって曲調は様々なので、作例の一部にはなってしまいますが、この記事が歌謡曲を作る際の参考になれば幸いです!

 

それでは、今回はこの辺にしてきます。

 

ではではノシ

【自作曲解説】昭和時代っぽい歌謡曲の作り方(作曲編)

どうも、中パンダです。

 

1年以上前になりますが、深夜の2時間DTMにて「昭和時代をイメージした曲」というお題が出されたことがあります。

その日は都合が良かったので自分も参加したわけですが…

 

"昭和をイメージ"とは…?

 

という感じで、全く音楽のイメージがつかめずにいました。

なにせ、自分は昭和時代を生きたことが無いのですから。

 

しかし、あたふたしているうちに時間はどんどん過ぎていきます。

まずは「昭和 曲」、「昭和 音楽」などでググり、Youtubeもできる限り検索して、昭和っぽい曲のイメージを掴んでいきます。

その中で謡曲に行きつきましたが、このジャンルが昭和のイメージにピッタリだと考えました。

 

今回は、昭和時代の歌謡曲を意識した曲作りについて、素人ですが自作曲を交えながら記事を書いていきたいと思います!

解説するのは、先ほども言いましたが深夜の2時間DTMにて作ったこちらの曲です。

長くなりそうなので、作曲編と編曲編に分けて記事を書こうと思います。

編曲編はこちら↓

whitepanda924.hatenablog.com

 

また、当ブログでは音階のことを「スケール」と表記していますが、前回と同様に説明の都合上「音階」と表記致します。

 

 

謡曲の特徴(作曲面)

Wikipediaには、以下のように書かれています。

謡曲(かようきょく)とは、昭和時代に流行した日本のポピュラー音楽の総称である。その中でも昭和時代に発表された楽曲群は昭和歌謡とも呼ばれる。

なので、昭和時代に作られた曲」の特徴を調べれば、それがそのまま歌謡曲の特徴となり得ます。(例外はありますが)

昭和時代の歌謡曲は年代ごとに違いがあるものの、次のような特徴があるようです。(自分がYoutubeで調べたものを参考にしているので、間違いがあるかもしれませんがご了承ください…)

ヨナ抜き音階のメロディ

メロディにヨナ抜き音階がよく使われており、年代が古いほど顕著にみられます。

この音階は、通常のポップスなどで使われる7音の音階(ダイアトニックスケール)から、4番目と7番目の音を取り除いた音階です。

ニロ抜き音階と同様に、日本古来からある音階を基に明治時代以降に作られた音階のひとつで、長音階短音階があります。

 

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ヨナ抜き長音階ハ長調:C,D,E,G,A)

 

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ヨナ抜き短音階イ短調:A,B,C,E,F)

長音階短音階共に歌謡曲ではよく見られますが、ヨナ抜き短音階の方が演歌っぽい雰囲気の曲で使われることが多いようです。

 

表拍強調のリズム

メロディの譜割が表拍を中心に作られておりシンコペーションなどで前後に食い入るようなメロディは少ないようです。

日本人は表拍のリズム、西洋人は裏拍のリズムを持っているといわれていますが、この表拍強調のリズムが日本らしさや歌謡曲らしさを演出しているとも言えます。

 

メジャー・マイナーコードの明確な使い分け

 昨今のポピュラー音楽のように、メジャーコードもマイナーコードもごちゃまぜで使っている様子は、歌謡曲ではあまり見られません。

メジャースケールの曲はメジャーコード、マイナースケールの曲はマイナーコードというように、音楽理論の基本に則ったコード進行が多く使われている印象です。

 

これらの特徴を取り入れ、曲を作っていきます。

 

参考曲

謡曲を一切聞かずに1から、しかも2時間以内に曲を作るのはほぼ不可能に近いです。

そのため、初めてのジャンルを作るときは必ず参考曲を選ぶようにしています。

今回は

www.nicovideo.jp

こんな曲や

www.youtube.com

こんな曲、

www.youtube.com

こんな曲のメロディやリズム・編曲を参考に、曲を作ることにしました。

 

曲の解説(作曲)

今回解説する曲の構成は

  • 最初~21秒付近:イントロ
  • 21秒付近~41秒付近:Aメロ
  • 42秒付近~1分1秒付近:Bメロ
  • 1分2秒以降:サビ

です。

今回使う音階はFメジャーのヨナ抜き長音階(ヨナ抜きヘ長調)で、構成音はF,G,A,C,Dとなります。(B♭とEは除外)

この音階は、Aメロの一部・Bメロ以外のパートで用いています。(BメロはDマイナースケール)

また、メロディや対旋律・ドラム等も含めて、シンコペーション等はごく一部で使うのみに留め、表拍中心でフレーズを作っています。

これで、表拍強調の歌謡曲っぽいずっしりしたリズムが作れます。

 

以下に、個別のパートを解説していきます。

 

メロディ

イントロ

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ストリングスフレーズ

ストリングスのフレーズが入ります。

このフレーズはもちろんヨナ抜き音階で、いかにも歌謡曲な感じを意識しました(笑)

ヨナ抜き長音階なので、メジャースケールの4番目B♭と7番目Eの音を避けるようにフレーズが作られているのがお分かりいただけるかと思います。

 

Aメロ

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Aメロメロディ

アコーディオンでメロディが入ります。

一部ヨナ抜き長音階に含まれないEの音が入っていますが、それ以外は全てヨナ抜き音階で作っています。

 

Bメロ

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Bメロメロディ

このパートのみ、一時的にDマイナースケールで作っています。

ヨナ抜き音階だけだと表現のバリエーションに限りがあるため、一時的に別のスケールを使っています。

また、Aメロではメジャースケール(長調)を使って明るい雰囲気を出していたので、Bメロではその対比で少し暗めな雰囲気にします。

そのため、Fメジャースケールの平行調であるDマイナースケールでメロディを作っています。

 

サビ

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サビメロディ

再びヨナ抜き長音階に戻ります。

サビは曲中で一番盛り上がるパートなので、メロディも全パートで一番高い音を組み込みます。(今回は1オクターブ上のF)

また、メロディの音域もAメロやBメロより広くなるようにします。(Aメロ:1オクターブ、Bメロ:短7度、サビ:約1オクターブ半)

これも、サビで盛り上がるようにする工夫の一つです。

 

コード進行

イントロ・Aメロ

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コード進行(イントロ・Aメロ)

区切り方の違いはありますが、イントロとAメロはともに

F→B♭→C→F 

というコード進行を使っています。

謡曲は比較的シンプルなコード進行が多く用いられるので、今回の例でも3和音のシンプルなカデンツを使うことにしました。

 

Bメロ

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コード進行(Bメロ)

Aメロとの対比で、コードのバリエーションを増やしています。

BメロではスケールをDマイナースケールに変更したので、使うコードもマイナーコードを多めに使っています。

Bメロ4~5小節目にあるA→Dmのコード進行はドミナント(D)→トニック(T)へと解決する進行で、Aの部分で一時的にスケールアウトした響きになります。

同じように、Bメロ最後にあるA7も、サビの頭にくるDmへと進むA7→Dmの一部で、D→Tと進みます。

ただ、セブンスの音が足されたA7の方がAよりも緊張感が高く、D→Tによる緊張→解決の効果がより強調されます。

さらに、サビの手前で曲がいったん途切れるので、Bメロ最後のA7からサビ頭のDmに進んだ時の"解決した感"はますます大きくなり、サビをより強く印象付けることができます。

 

サビ

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コード進行(サビ)

一部を除き、典型的な小室進行(Dm→B♭→C→F)を使っています。

(自分が聞いた限りでは)歌謡曲に小室進行を使った曲は1曲も見当たらず、正直使うべきか迷いましたが、時間の都合もあったので、自分がメロディを思いつきやすいコード進行を使うことにしました。

 

おわりに

今回は、ヨナ抜き音階を使った歌謡曲らしいメロディの作り方と、コード進行の割り当てについて記事を書きました。

今回初めて歌謡曲を作りましたが、検索してヒットした曲はどれもキャッチーで味わい深いメロディばかりでした。

謡曲の肝になるのはやはりメロディで、メロディをいかに作り込めるかが曲のクオリティに関わってくるのだと思います。

今となっては「古臭いもの」と扱われがちですが、メロディの作り込みには見習うべきものがあると感じました。

今後も自分が歌謡曲を作るかどうかは分かりませんが、他ジャンルの曲作りにも参考にしていきたいと思います!

 

それでは、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ

【自作曲解説】ニロ抜き音階を使って和風曲を作る

どうも、中パンダです。

突然ですが、作曲をされている皆さんは、何かの拍子にふと和風な曲が作りたいと思ったことはないでしょうか?(自分は時々あります(笑))

あくまで個人的な感覚ですが、自分の周りのDTMerのうち半分くらいが、最低1曲は和風曲を作ったことがあるようで、それなりに作りたいという人はいるようです。

今回は、そんな和風な曲を作るのに欠かせない音階の話と、それを使ったメロディの作り方について、自作曲を用いて解説していきたいと思います!

 

今回解説する曲は、1年ほど前に深夜の2時間DTMで作ったこちらの曲です。

今の季節にぴったりな、秋風をテーマにした和風ハウスです。

この曲に関する他の記事↓ 

whitepanda924.hatenablog.com

 

※当ブログでは音階のことを「スケール」と表記していますが、今回は説明の都合上「音階」と表記致します。

 

音階について

今回は、ニロ抜き音階というものを使ってメロディを作ります。

ニロ抜き音階とは、通常のポップスなどで使われる7音の音階(ダイアトニックスケール)から、2番目と6番目の音を取り除いた音階です。

この音階は、日本古来からある音階を基に明治時代以降に作られた音階のひとつで、長音階短音階があります。

 

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ニロ抜き長音階ハ長調:C,E,F,G,B)

 

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ニロ抜き短音階イ短調:A,C,D,E,G)

 

長音階沖縄っぽい南国風の陽気な雰囲気短音階本土風のしっとりした和風な雰囲気を持っています。

この音階をメロディに使うことで、簡単に和風な雰囲気を表現することができます。

今回解説する曲では、ニロ抜き短音階を使ってメロディを作っていきます。

 

曲の解説

曲の構成は

  • 最初~19秒付近:イントロ
  • 19秒付近~57秒付近:バース
  • 57秒付近~1分16秒付近:ビルドアップ
  • 1分17秒以降:ドロップ

です。

今回解説する曲はC#マイナーのニロ抜き音階(ニロ抜き嬰ハ短調)で、構成音はC#,E,F#,G#,Bとなります。(D#とAは除外)

この音階は、ビルドアップ以外全てのパートで用いています。(ビルドアップはC#マイナースケール)

以下に、個別のパートを解説していきます。

 

イントロ

ピアノの伴奏から始まりますが、右手のフレーズにニロ抜き音階を使っています。

 

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上半分がフレーズ、下半分がコードばらし

C#マイナースケールの2番目D#と6番目Aの音を避けるようにフレーズを作っています。

イントロは曲の第一印象を決定づける重要なパートなので、ニロ抜き音階を前面に出して和風な雰囲気をはっきりと出しています。

 

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また、このピアノパートは右手でフレーズ、左手でコードのばらしを演奏していますが、音域が近いので、左手の高音域側が右手の低音域側と重複して一つのフレーズのように聴かせることができます。

 

バース

笛のメロディが入ります。

(尺八っぽい音色が欲しかったのですが、あいにく音源を持っていなかったので、代用としてHALion Sonic SE付属のEthnic Fluteに薄くコーラスをかけたものを使っています)

 

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笛メロディ(バース)

イントロと同じく、D#とAの音を避けるようにフレーズを作っています。

 

ビルドアップ

ドロップへとつながる盛り上げパートです。

 

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笛メロディ(ビルドアップ)

このパートのみ通常のマイナースケールを使っていますが、これは曲調に変化をつけるためです。

ニロ抜き音階のように構成音が5つしかない音階は、7音使えるメジャースケールやマイナースケールに比べて表現の幅が小さく、どうしてもマンネリ化しがちです。

そのため、マンネリ化を防ぐために和風曲の中でも一時的にマイナースケールを使い、聴き手が飽きないようにしました。

 

ドロップ

リードやバックでシンセが入り、曲中で一番盛り上がるパートです。

 

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シンセメロディ

このパートでは再びニロ抜き短音階に戻り、イントロやバースと同様にD#とAの音を避けるようにフレーズを作っています。

ドロップ後半では笛の対旋律が入りますが、このフレーズもニロ抜き音階で作っています。

 

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笛対旋律

対旋律はメロディほど目立たないがゆえに、音階に含まれない音を使ってしまうとオケに馴染まず浮いてしまいます。

曲によっては音階に含まれない音を使うケースもありますが、今回はあくまで「和風曲」にしたいので、ニロ抜き音階に忠実に対旋律を作ります。

 

【余談】ヨナ抜き音階との違い

和風曲を作るときに用いられる代表的な音階の一つに、ヨナ抜き音階があります。

(世間的にはこちらの方がよく知れ渡っているような気がしますが、気のせいでしょうか…?)

ニロ抜き音階が"2"と"6"を取り除いたものであるのに対して、ヨナ抜き音階は"4"と"7"を取り除いたものになります。

このヨナ抜き音階にも長音階短音階があります。

 

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ヨナ抜き長音階ハ長調:C,D,E,G,A)

 

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ヨナ抜き短音階イ短調:A,B,C,E,F)

 

ヨナ抜き長音階雄大でどことなく大陸っぽい雰囲気、ヨナ抜き短音階平安時代の京都のような日本的で妖気漂う雰囲気の音階です。

ヨナ抜き音階もニロ抜き音階と同じく、日本古来からある音階を基に作られたものですが、基となる音階が違うため雰囲気は異なります。(もっと言うと、同じニロ抜き音階でも、長音階短音階で違います)

そもそも、元々別々に存在していた音階を西洋音楽に当てはめて作られた音階なので、全く別物であると考えたほうがよいです。

なので、「ヨナ抜き音階は~、ニロ抜き音階は~」という区別は全く意味がなく、4種類の和風音階が存在する、という考え方が妥当ではないかと思います。

ただ、ヨナ抜き長音階とニロ抜き短音階に注目すると、音階の開始音(主音)が違うだけで音の並びが同じ、いわゆる平行調になっています。(例:Cから始まるヨナ抜きハ長調と、Aから始まるニロ抜きイ短調平行調

 

なので、この2つの音階については雰囲気が似ていると言えます。

 

おわりに

今回は、ニロ抜き短音階を使った和風曲の作り方について記事を書きました。

和風な雰囲気を表現する方法はいくつかありますが、メロディを工夫する方法が一番「和」の雰囲気を出せると思います。

和風らしい曲を作る際に、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

また、ニロ抜き音階は、和風曲に限らず日本のポップス音楽のいたるところで見ることができます。

和風曲を作らなくても、今回紹介した音階を意識すれば、音楽における「日本らしさ」の新しい発見につながるのではないでしょうか?

 

それでは、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ

2019年秋M3を終えて(CDの裏話、今後の話など)

どうも、中パンダです。 

先日10月27日に、東京流通センターでM3が開催されました。

当日参加された方々の中には、両手に抱えきれないほどのCDを戦利品として持ち帰り、今まさにそれらを堪能している方もいるかと思います。

自分もサークル参加という形で参加してきたわけですが、基本的にブースにいたので他サークルのCDはあまり買えませんでした(汗)

 

さて、この記事ではそんなM3のCD制作の裏話的なものと、今後の活動の話について少し書こうと思います。

 

CD制作の話

この日に向けて新譜を制作してきたわけですが、構想自体は5thアルバムを作り始めた直後から練っていました。

今回発表した新譜「Trail For Revival」は、悲劇からの復活というテーマで制作を開始しました。

この悲劇とは、前作の「Alive Past Tragedy」のことを指しており、今回のCDはその続編という位置づけになります。

 

また、今回は初めてボカロ曲を収録しました。

昨年のコミケC94が終わった後、こちらの記事ボーカル曲に挑戦する(いわゆる歌ものってやつです)と宣言しましたが、今回の新譜でそれを達成したことになります。

高校時代、定期テストで現代文が毎回赤点になっていたくらい国語が苦手だったので、正直作詞にはとんでもなく苦労しました(汗)

新譜を作るまでの1年弱の間、作詞の本を買って勉強したり、既存のJ-POPやらボカロ曲やらの歌詞を書き出して研究してみたり、知人のボカロPに作詞方法を聞いてみたり・・・

経験値を稼ぐために、深夜の2時間DTMでも作詞をしてみたりもしました。

最終的に3曲のボカロ曲を収録することができて、今"やりきった感"に浸っております。(笑)

 

今後の活動の話

曲制作について

今作以降、インスト曲から徐々に脱却して、ボーカル曲にシフトしていくつもりです。

実は、1stアルバムを発表して初めてコミケでCDを頒布した時から、CDを試聴してくださる方に「ボーカルは無いんですか?」と言われることが多々ありました。

これまでは、「作詞力やボカロ調声力がない」という理由でずっと避けていましたが、イベント参加を重ねるごとに少しずつ気持ちが変わっていきました。

そして、5thアルバムを一つの区切りにして、思い切って転換することにしました。

そんなわけで、次回作もボーカル入りの曲を作っていくつもりです!(インスト曲も作らないわけではないですが)

 

曲の公開について

今までは、CDに収録した曲は一切公開していませんでしたが、今後はCDが完売したアルバムを中心に、随時ネット上に公開していこうと考えています。

 

これについては、以前から「既に完売したCDをいつまでも温めておく必要があるのだろうか?」という疑問を抱いていました。

完売してもネット販売という形でアルバムを聴いてもらえる機会はありますが、現状まだまだ即売会の方が多く聴いてもらえています。

なので、CDが完売したネット販売のみのアルバムは、誰かに聴かれる機会が極めて少なくなります。

また、昨今のネット社会においては「まずは存在を知られることが大事」と言われています。

どれだけいい作品を作っても、そもそも曲の存在が知られていなければ意味がありません。

そのため、同人活動の主力は最新作に託して、過去作品は活動広報も兼ねてネット上に公開していくことにしました。

 

ただ、CDの曲を公開しても"ドネーションアルバム"という立ち位置でDL販売は継続します。

基本的に無料で聴けるけど、もし曲を気に入ってくれて、当サークルの活動を応援してくれる人がいたら、任意で買っていただきたいな…」という感じです。

 

おわりに

こんな感じで、今後とも中パンダ、およびPND音楽館の活動をよろしくお願い致します!

次回は11/23-24にAPPOLO 10、12/8に大阪難波で音けっとにサークル参加します。

また次回のイベントにてお会いしましょう!

 

ではではノシ

2019年秋M3にサークル参加します

どうも、中パンダです。

今月に入ってからはずっとM3の準備をしており、作曲のTIPS系の記事が書けずにいました(汗)

イベントが終わって落ち着いたら、再び投稿していきます・・・

 

さて、今回はイベント参加の告知です。

自分が代表を務めている同人音楽PND音楽館」は、10月27日(日)に東京流通センターで開催される同人音楽即売会M3にサークル参加します!

配置スペースは、第一展示場 M-09b です!

 

約1年ぶりの新譜となる6th アルバム「Trail For Revival」を頒布します!

 

soundcloud.com

「悲劇からの復活」をテーマにしたトランス・ハウス系のCDです。

今回は初めてボカロ曲(初音ミク)を収録しました。

物悲しくも前向きになれる本作を楽しんでいただければ幸いです!

全6曲+インストバージョン3曲で800円です!

 

また、旧譜として5th アルバムの「Alive PAst Tragedy」も持っていきます。こちらはロック系です。

 

soundcloud.com

11曲入り1000円です。

 

M3に来られる方は、ぜひ当サークルのブースに立ち寄ってみてください!(´∀`)

 

それでは、当日はお待ちしています!

 

ではではノシ

【自作曲解説】ブルーノートスケールを使いまくってやらしい雰囲気を演出する

どうも、中パンダです。

 

以前の記事で、ブルーノートスケールを使って大人びた雰囲気の曲を作る方法について解説しました。

その中で、「使い過ぎると大変なことになる」と注意書きをしましたが、

 

もしブルーノートを使いまくるとどうなるのか?

 

という疑問を持たれた方もいるかと思います。

つい先日、深夜の2時間DTMでこのテーマにぴったりな曲を作ったので、今回はこの曲を題材に記事を書いていきたいと思います!

解説に使う曲はこちらです。

 

・・・言いたいことはいろいろあるでしょうが、今回はこちらの特にメロディについて解説します。

 

スケールについて

解説

以前の記事を読まれた方は読み飛ばしても構いません。同じ内容です。

 

以前の記事と重複しますが、今回紹介する曲で使っているブルーノートスケールについて軽く説明します。

ブルーノートスケールは本来、ジャズやブルースなどでよく使われるスケールで、メジャーペンタトニックスケールに♭Ⅲを加えたものと、マイナーペンタトニックスケールに♭Ⅴの音を加えたものの2種類存在します。

補足:構成音について

  • メジャーペンタトニックスケール:Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅴ,Ⅵ
  • マイナーペンタトニックスケール:Ⅰ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅶ

ペンタトニックスケールに加えられた上記の音をブルーノートと呼び、スケールのキーとなる音となります。

 

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Cメジャーブルーノートスケール(C, D, E♭, E, G, A)

 

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 Cマイナーブルーノートスケール(C, E♭, F, G♭, G, B♭)

メジャー・マイナーどちらの場合もブルージーでけだるい感じの雰囲気を持っており、うまく使えば大人びた雰囲気を演出することができます。

しかし、ブルーノートを使いまくると大人びた雰囲気が過度に強調され、なまめかしい、やらしい感じの雰囲気になります。

 

使用方針

今回解説する曲を作った際、深夜の2時間DTMで出されたお題は「妖艶な曲」でした。

「妖艶」を辞書で調べると、

あでやかで美しいこと。男性を惑わすようなあやしい美しさをいう。

とあります。

このとき自分は「男性を惑わすようなあやしい美しさ」に着目し、やらしい感じの雰囲気の曲がお題にピッタリであろうと考えました。

なので、ブルーノートをあえて使いまくり、曲を作ることにしました。

 

曲について

曲構成は

  • 最初~15秒付近:イントロ
  • 16秒~45秒付近:Aメロ
  • 46秒~1分0秒付近:Bメロ
  • 1分1秒以降:サビ

です。

以前解説した曲とはジャンルが違いますが、コード進行はセブンス系か否かという点以外ほとんど同じものを使っています。(コード進行はⅣ→Ⅴ7→Ⅵm→Ⅴ。前半3つのコード度数が同じ)

しかし、今回の曲の方がなまめかしい感じになっているはずです。はずです。(大事なことなので2回書きました)

 

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Aメロメロディとブルーノートの箇所(青丸・青矢印)

違う点はメロディの中で使われるブルーノートの頻度です。

以前の例で4小節ごとに1回(多くても2小節に1回)程度の頻度でブルーノートを混ぜていました。

しかし今回の例、特にAメロでは1小節に1回の頻度で使っています。(ピッチベンドを使った一時的なブルーノートも含む)

さらに、以前の例のAメロは16分音符を中心にメロディを組んでいましたが、今回の例は8分音符が中心です。

メロディの中心となる音符の単位が大きいほど1音1音の影響力が強くなるため、「ブルーノートっぽさ」も強く表れます。

 

ブルーノートは、 Aメロ、Bメロ、サビといったパート全体で1,2回程度出現するくらいでも十分効果を発揮します。

自分で言うのも変かもしれませんが、今回の例は使い過ぎです。

Aメロだけで(16小節分ありますが)15回もブルーノートを使ったら、そりゃやらしくもなるでしょう。 (それを狙ったんですけど)

それに加えて、イントロに散りばめたボイスサンプルの効果と合わせて、雰囲気もかなり強調されます。

今回の曲がこんな雰囲気になってしまったのは、ある意味当然と言えるでしょう。

 

おわりに

今回は、ブルーノートスケールを使いまくってやらしい感じの雰囲気にする方法ついて記事を書きました。

紹介した曲は自分の好奇心に基づいて作られた特殊なケースで、本来ブルーノートはここまで使いまくるものではありません。

「使いまくってしまうとこうなってしまうのか」と、反面教師的な見方でとらえていただければと思います。

何事も、やりすぎ注意です!

 

もしかしたら、今回紹介したやり方以外でもこの雰囲気は再現できるかもしれません。(自分はまだこれしか知りませんが・・・)

いろんな曲を聴いて、いろいろな表現方法を勉強しようと思います(笑)

 

それでは、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ