中パンダイアリー

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【曲が思いつかない対策】ループサンプルを参考に曲のアイデアを得る

どうも、中パンダです。

作曲をしているほとんどの人が経験するであろう出来事の一つに、「曲が思いつかない」ということがあります。

自分もよく経験することで、新しいプロジェクトファイルを作ったはいいものの、何も思い浮かばずに終わってしまうことが多々あります。

今回は、そんな曲が思いつかないときの解決策の一つとして、ループサンプルを使った方法について記事を書いていきたいと思います!

 

 

解決策

曲が思いつかない時の解決策の一つは、

 

ループサンプルを聴いて、そこから曲のイメージを膨らませていく

 

というものです。

ループサンプルとは、楽器のフレーズやドラムのリズムパターンが、1,2,4小節といったある程度まとまった長さであらかじめ作られている音素材のことです。

 

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ループサンプルイメージ

フリーで配布されている素材も含めて完成度が非常に高く、音を聞いただけで曲の世界観を想像できるものも数多くあります。

半面、既にフレーズや音色が作り込まれているので、作れるフレーズやジャンル等は制限されてしまいます。

曲が思いつかない原因の一つとして、作れる幅が広すぎて方向性が決まらないということが挙げられます。

そのため、今回はこのループサンプルが持つ欠点を逆に利用し、作曲にある程度の縛りを入れることで作曲を進めるという作戦です。

 

使用したサンプル

今回使用したループサンプルは、SHARP - Summer Piano Loops に含まれる音源で、ハウス系のピアノコードが100種類収録されています。

以下のリンクからフリーでダウンロードできます。

www.functionloops.com

 

www.youtube.com

こちらのデモ音源1:02~1:17で流れているピアノコードのループサンプルを使いました。

 

作曲の流れ

コード進行の把握

 先ほど選んだループサンプルのキー・コード進行を把握します。

今回は、幸いにもループサンプルがMIDIデータでも収録されているので、こちらを参考にします。

すると、コード進行は次のようになりました。

 F#m7/9 | G#m7 | F#m7/9 | G#m7 | F#m7/9 | G#m7 | G#m7 | F#m7

 

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MIDIファイルコード

基本的に7thコードで、F#m7については9thのテンションがついています。

 

また、使われている音を全て書き出すと、EメジャーorC#マイナースケールと同じ音の並びになります。

ここで、Eメジャースケールと仮定すると、コードの度数表記は

 

Ⅱm7/9 | Ⅲm7 | Ⅱm7/9 | Ⅲm7 | Ⅱm7/9 | Ⅲm7 | Ⅲm7 | Ⅱm7/9 |

 

一方、C#マイナースケールと仮定すると、

 

Ⅳm7/9 | Ⅴm7 | Ⅳm7/9 | Ⅴm7 | Ⅳm7/9 | Ⅴm7 | Ⅴm7 | Ⅳm7/9 |

 

となり、どちらで考えてもトニック(T)であるⅠとⅥが存在しないことが分かります。

トニックは曲の安定感に関わるコード機能なので、今回使うループサンプルでは安定感が無く、調性も曖昧になると予想されます。

そのため、今回はメジャースケールかマイナースケールかは決めず、どっちつかずな曲として作曲を進めていきます。

 

ジャンルの決定

先ほども書いたように、今回使うのループサンプルには7thや9thが含まれており、お洒落な要素を持っていることが分かりました。

また、サイドチェインがかかったように音がうねっており、テンポ感からハウスの雰囲気が最も合いそうです。(ダウンロードページにもハウスについて書かれており、そちらも参考にしました)

そこで今回は、お洒落系ハウスで曲を作ることにしました。

 

楽器選択(暫定)

ジャンルが決まったら、ループサンプル込みでひとまず4~8小節程度の短い曲を作ってみます。

今回はハウスなのでとりあえず、電子ドラム、スラップベース、シンセ(和音)あたりを追加し、よくありがちなフレーズを並べてよくありそうな雰囲気のループを作りました。

フレーズの追加は次の通りです。

  • ドラム:4つ打ちで8分の裏にハイハット(時々16分音符)、2拍目と4拍目にハンドクラップ
  • ベース:8分音符のオクターブ奏法ベース(時々16分)
  • シンセ和音:コードの伸ばしそのまま

 

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とりあえず曲にする

 

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ドラムフレーズ

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ベースフレーズ

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シンセ和音

リズムは、ループサンプルに合わせるとより雰囲気が出ると思います。

今回は16分音符の位置でピアノコードが鳴っている箇所があるので、それに合わせてスラップベースのフレーズも16分音符を意識したフレーズにしました。

また、ドラムも同じく16分を意識して細かめのフレーズを作りました。

 

テーマ決定

ここまでは「とりあえず」曲を作ってきましたが、ここからは曲のテーマを決めて本格的に作曲していきます。

テーマを決めるときは、より具体的であればあるほど、曲のコンセプトがブレず、"いい曲"が作りやすくなります。

以下に、意識すると効果的なポイントを書いていきます。

  • どんなシチュエーションで使われる曲か?(時間帯は?場所は?誰がいる設定か?etc)
  • 聴く人はだれか?
  • 伝えたいメッセージは何か?(伝えたい"雰囲気"でもよい)

作ったのがGW期間中の晴れた日だったということもあり、先ほどのポイントに当てはめて考えてみると、次のようになりました。

  • シチュエーション → 5月の澄み渡った青空を見上げる人々
  • 伝えたい雰囲気 → 爽快感
  • 聴く人 → 在宅勤務中の人

ここから、今回のテーマは

 

「お昼のニュース番組に使えそうな、青空をイメージした爽快感ある曲」

 

にしました。

 

楽器の正式決定

テーマが決まったので、これに沿うように楽器を選び直します。

今回の場合は、「とりあえず」作っていた曲に次のような変更を加えました。 

  • FX系を多めに追加 → 高音域による空気感で青空を表現
  • キラキラ系のシンセサウンドを追加 → 上と同じ理由
  • ストリングスを追加 → ニュース番組らしく少し格式高い感じに

 

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楽器を追加・変更する

 

フレーズの調整

楽器選びと同時に、フレーズの調整もしていきます。

今回は

  • ストリングス:スタッカートを利かせた明るい系で跳ねる感じのメロディ
  • キラキラシンセ:高音(今回はB音)の伸びを意識した対旋律

を意識してフレーズを作りました。

 

完成!

ここまでのステップを経て、出来上がった曲がこちらになります。

 

soundcloud.com

 

お昼、澄み渡った5月の青空が見えてきますでしょうか?(笑)

 

おわりに

今回は、曲が思いつかない時にループサンプルを使って曲のアイデアを得る方法について紹介しました。

「曲が思いつかない」というのはなかなか厄介なやつで、思いつくまで長い時間を費やしてしまったりして無駄が多く発生しがちです。

作曲の経験値を稼ぐためにも、こういった無駄をなくしていきたいものです。

今回紹介した方法は、曲を無理やりひねり出す方法の一つにすぎませんが、参考になれば幸いです。

 

それでは、今回はこの辺にしておきます。

 

ではではノシ