どうも、中パンダです。
前回は、ドリアンスケールを使ってファンタジーな雰囲気の曲を作る、という主旨で記事を書きました。
今回も引き続き、自作曲を音楽理論に沿って解説していきたいと思います!
タイトル:地底に差す光
— 中パンダ (@whitepanda924) December 9, 2018
お題「地底世界をイメージした曲」 #深夜の2時間DTM
リハビリがてら作りました!
地底っぽく暗めに作ったはず…
(追伸:初めてCubase Pro 10で作りました) pic.twitter.com/i9yZk6gCUs
2021/7/18 追記:Audiostock配信用リメイク版です。 もし気に入っていただけたなら、こちらもチェックしていただければ嬉しいです。
今回解説するのは、この曲のBパート(31秒付近)です。
このパートの前後で転調していますが、特に違和感なく自然につながって聞こえるはずです。
ここは少しトリッキーなことをしているので、少しずつ解説していこうと思います。
※前回の記事に、記事を読むのに最低限必要な音楽理論の知識について書いていますので、そちらに目を通してから本記事を読むと、より理解しやすいかと思います。
2021/7/18 追記:Audiostockにてリメイク版を配信しました! もし気に入っていただけたなら、こちらもチェックしていただければと思います!
スケールについて
曲のスケールがGドリアンスケールからDマイナースケールに転調しています。
Gドリアンスケール(構成音はG,A,B♭,C,D,E,F)
Dマイナースケール(構成音はD,E,F,G,A,B♭,C)
これは、GドリアンスケールとDマイナースケールの構成音ですが、順番が違うだけで、使われている音は全く同じです。
このように、使われている音が同じで始まりの音(主音)が違う調のことを平行調といいます。DマイナースケールはGドリアンスケールに対して平行調の関係にあり、聞いた時の調性が近いため、転調しても自然につながりやすいです。
ちなみに、第6音が半音低いGマイナースケールに対しては属調の関係にあり、こちらも自然な転調ができます。
音楽理論では、これらの調性が近い調をまとめて近親調と呼びます。
転調先を考えるにあたっては、この近親調を意識するとよいのですが、「調性がどの程度近いか」については、五度圏の関係を考えると理解しやすいかと思います。
五度圏とは、ある調(キー)を基準に完全五度の関係を保ちながら円形に並べたもので、キーが異なるスケールどうしの距離感を表しています。距離が近いほど調性が近くなります。
例えば、Cメジャースケールから見て隣にあるFメジャースケールとGメジャースケール(属調)は調性が最も近く、反対にF#メジャースケールは最も遠くなります。また、Cメジャースケールの内側にあるAマイナースケール(平行調)も調性が近くなります。
この図を見ると、Gマイナースケールの隣にDマイナースケールがあり、調性が近いことが分かります。(Gドリアンスケールについては図にありませんが、平行調での考え方を使っています)
コード進行について
前回の記事にも書きましたが、今回のコード進行はⅣ→Ⅴ→Ⅵm進行(マイナースケールではⅥ→Ⅶ→Ⅰm進行)を参考にB♭→C→Dm→Amを使っています。(音楽理論ではSD→D→T→D)
また、Bパートの直前までGmadd9→Cを繰り返してきました。このため、聞き手はCを聴いた時点で「次もおそらくGmadd9がくるだろう」と無意識に推測します。
実際にはGmadd9ではなくB♭(ビーフラットメジャーコード)になりますが、これはⅣ→Ⅴ→Ⅵm進行につなげたかったからです。この場合、Gmadd9の代理コードとしてB♭を使った形になります。
Gmadd9はGmに9thのテンションを追加(add)したコードなので、GmとGmadd9とでコード理論上の役割は変わりません。
このGmについて、コードの役割を少し話しておくと、Gドリアンスケール上ではGmはⅠmとなり、トニックの役割を果たします。一方、Dマイナースケール上ではⅣmとなり、サブドミナントの役割を果たします。
つまり、Gmは「Gドリアンスケールにおけるトニックであり、同時にDマイナースケールにおけるサブドミナントでもある」とみなすことができるのです。
転調後はGmをサブドミナントとみなしてB♭に置き換え、B♭→C→Dm→Amのコード進行につなげています。
以上のことから、スケールが変わり、しかもGmadd9をB♭に置き換えて転調しても、聴覚上は自然につながっているように聞こえるのです。(ちなみに、曲の始めから入っているピアノフレーズは転調前後で一切変えていません)
Bパートのピアノフレーズ
おわりに
今回は、近親調を考えた自然な転調の仕方について、自作曲を使って解説しました。
世間に出回っている曲には、サビで半音or全音上がる(or下がる)タイプの転調をするものも数多くありますが、今回はそれには触れていません。
とりあえずここでは、「そういうのもある」とだけ言っておきます(汗)
最後になりますが、前回から読んでくださった方も、今回だけ読んでくださった方も本当にありがとうございます!
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ではではノシ